戦争は女の顔をしていない

戦争という「異常」な雰囲気の中で、老若男女という差別が無くなってしまう。当然女性も男性の兵士と同じように殺される。むしろ何でもありのような状態の中で真っ先に抹殺されるのは弱者(女・子ども・老人)になってしまう。

そのような状況の中で老若男女はその人なりの顔はしなくなる。当然女も例外では無い。

本書はソ連の従軍達の写真と共にインタビューを掲載している。いずれも第二次世界大戦の中でソ連の従軍として戦地に送り込まれた女性は100万人に及ぶ。

戦争は確かに恐ろしい。しかしその恐ろしい戦場に赴く。その時に女性であることを捨て、一介のソ連軍の一員として赴く。「従軍」と言っても看護婦や慰安婦と言った物では無く将校などの軍人としても女性が参加するというような事態である。

日本でも、特別な事情がなければ男性は戦争に召集されるような、いわゆる「総力戦」の様な形だったし、女性も兵士としての練習をするような事があった。

さらに言うと、戦争にまつわる資料はなかなか出てこない。というのは戦勝国でも敗戦国でも都合の悪い資料は焚書されるような時代であったために、時代を読み解くのも人の証言によるところがどうしても多くなってしまう。

そう言う意味で本書は第二次世界大戦を知る中で、ソ連軍がどのような動きをしていたか、そして女性はどのように扱われてきたのか、と言うのが良くわかる一冊である。