ドルがなくなる日

最近では「ビットコイン(Bitcoin)」が大きな話題となっている。どんな話題かというと、ビットコインの主要な取引所の一つである「マウントゴックス社」が取引停止となり、倒産をしたというニュースである。これについて被害額は百億単位になっているが、正式な値は定かになっていない。

このニュースを受け、ビットコインに対する認知が殖えたのだが、闇市場への出回りなどブラック名面も多々ある。

本書はそれとは異なるが、中国における経済成長が目覚ましく、GDPで世界第二位にまで上り詰めた。しかもアメリカ国債を最も持っている国はかつて日本だったのだが、現時点で中国が持っているため、アメリカも容易に強硬姿勢をとることができなくなっている事実がある。
さて、本書のタイトルを見ると非現実的に見えるのだが、いつしか米中でマネー戦争が起こり、ドルがなくなるのかも知れない、という想定の下でドル通貨が辿ってきた歴史と共に、今から5年後に起こるかも知れないマネー戦争がどうなっていくのかをシミュレーションしている。

第一章「ドルの掌の上から始まった現代史」
第二次世界大戦後はあたかも「パクス・アメリカーナ(「パクス・ロマーナ」のアメリカ版)」の様相を呈してきた。その時に「ドル」が国際通貨として認知され、ドルの価値が世界の中心として表れた。しかしドルの価値の影響は第二次世界大戦以前にも第一次世界大戦の時に躍進し、中核を為そうとしてきた時代があった。

第二章「通貨が国家を手玉にとる時」
通貨の変動によって国家危機になる事もある。古くは1920年に起こったドイツのハイパーインフレが起こった。他にもちょっと前だと1997年の「アジア通貨危機」、翌年の1998年の「ロシア通貨危機」、2008年の「アイスランド国家破産」、そして2010年のギリシャ危機がある。

第三章「「ドル」を継ぐもの」
通貨によって国家が揺らいだことは第二障ではとりわけ国家崩壊の危機をもたらすような危機を取り上げて行ったのだが、他にもアメリカでは1971年に「ニクソン・ショック」というのが起こった。これはいったい何なのかというと、これは時の大統領リチャード・ニクソン大統領がそれまでの固定比率によるドル紙幣と金の兌換を一時停止したことによる、世界経済の枠組みの大幅な変化が起こったことである。これは日本にも円ドルの為替相場が固定相場制から変動相場制に変化した。

第四章「中国 vs. アメリカ最終戦争 2019年マネーは踊る―近未来シミュレーション小説」
第三章まではこれまでの考察だったのだが、本章はシミュレーション小説である。小説の評価よりもむしろ2019年はこうなっているという、あくまで過去の事象から鑑みたシミュレーションストーリーとして見ると良いかもしれない。今から5年後の世界は近そうに見えてなかなか想像できない。本章のようになることもあれば、ならないことだってありうる。

本書のタイトルから見て信じられない様に思えてしまうが、よくよく読んでみると「確かに」と言える部分も存在する。そう言う意味では現実として起こり得るかも知れないのだが、未来に「確実」という言葉はない。そのため「もしかしたらこんなことが起こる」という想定案として読んでおくと良いのかもしれない。