「おばあちゃんの知恵袋」と言う言葉をご存じだろうか。言葉はよく知っていても、どのようなものがあるのか、知る人は世代によって異なるが、私たちの世代だとそれを知る人は少ないだろう。ちなみに私の祖母はもうすぐ傘寿を迎えるのだが、故郷に帰る度に色々な事を教えてくれる。口うるさい部分もあるのだが、それでも自分のことを思って教えてくれているんだなと言うことが感じられた。
さて、本書の話に移る。本書の物語は型破りというか、まさに「フィクション」と言える様な奇想天外な物語なのだが、浪人生がひょんなことからおばあちゃんと一緒に住むようになった。しかし浪人生でカリカリしていた自分自身や家族が、あたかも魔法をかけたかのように好転し、それでいながら「おばあちゃんの知恵袋」がふんだんに盛り込まれているような作品だった。
私は主人公である浪人生とほど近い世代であるため、「おばあちゃんの知恵袋」が斬新の様に思えるのだが、もしおばあちゃんと同じ世代が本書を読むと、「そういうのがあった」というような感覚に陥るのだと思う。そう言う意味では老若男女違った観点で味わえる一冊である。
コメント