くちびるに歌を

本書はフィクションであるのだが、時間軸からして2008年辺りの中学校を舞台としている。その証拠にはNコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲にアンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ~」が取り上げているからである。この曲は2008年にNコンの中学の部で本当に取り上げられた曲であり、合唱シーンも動画サイトで取り上げられているほどである。

さっき中学校が舞台になっていると書いたが、具体的には長崎県五島列島という小さな島が舞台であるのだが、その中でとある音大生が臨時教員として音楽教師になった。その音楽教師は合唱部の臨時顧問も務めることになったのだが、そこでも生徒同士の対立もあれば、人には言えない「手紙」に至るまで描かれている。本書にも当然「手紙~拝啓 十五の君へ~」の一節が取り上げられているが、それ以上の事を伝えているような気がした。