ショートカット

本書は短編集で表題の「ショートカット」を始め、「やさしさ」「パーティー」「ポラロイド」の4編から成り立っている。一つ一つの作品に暖かみを持っており、それでいながらも人間くさく描かれている。それでいながら表題である「ショートカット」の名前の如くそれぞれの「心の距離」を描きつつも、ショートカットして、近づけさせるように作られている所もなかなか面白い。

人間くさいながらもせつなく、暖かみのある作品であるだけに、読んだ後の満足感がある。フィクション作品でありながらも日常を描きつつ、それぞれの距離を思わせ、その距離を縮められるように「ショートカット」を行う。そういった作品である。