歪曲捜査―ケンカ刑事が暴く警察の実態

「ケンカ刑事」「パッション飛松」
といった異名を持つ飛松五男氏だが、それらの異名は情熱を持って警察捜査に臨んだ姿勢を表しているのだが、実際に警察に関する腐敗とも闘ったと言うことから表している所もある。
本書は情熱をもって立ち向かった元・刑事でありながら、現在もなお犯罪捜査研究所を立ち上げ、最前線で事件の捜査に臨んでいる方の警察と事件の記録である。

第一章「警察官として出発」
飛松氏が警察官になったきっかけというのは、親族の死にあった。その死に疑問を持ったことから自ら警察官になろうと思ったのだが、元々飛松氏には別の夢があって、民間会社に就職していたのだという。しかし、日に日に刑事への憧れが強くなり、会社を辞めて警察官になった。

第二章「叩き込まれた刑事魂」
晴れて刑事の世界に入ったのだが、その世界の中で飛松氏は同僚や先輩の檄により、刑事魂をたたき込まれた。もちろん事件をきっかけに様々な経験を培っていった。

第三章「底知れぬ腐敗と闘う」
組織がずっとクリーンになる事は難しい。年数が経つとその組織の粗を見つけ出し、ほころびを入れようとする人が少なからずいる。ほころびの具合によるのだが、それが悪化すると、本章でも取り上げる「腐敗」に陥ってしまう。飛松氏は刑事畑で一生懸命に事件を解決していったのだが、ある事務処理をしていたときに、その「腐敗」と言われている実態を掴んでしまった。

第四章「目撃した暴力団と警察との癒着」
昨年か一昨年あたりに暴力団に対する取り締まりが強化され始めた。現時点で警察は暴力団排除に向けて行っているのだが、昔はどうだったのかというと、一種の「癒着」があったのだという。もちろん飛松氏もその癒着の現場に遭遇したことがあった。

第五章「暴走族を壊滅に追い込む」
飛松氏は当時の日本最大の暴走族「バッドボーイ」を壊滅に尽力したことがある。もちろん飛松氏単独で、ではなく同僚・上司らの助けもあって何とかできたのだが、その壊滅に向けても紆余曲折が存在した。

第六章「自殺も考えた「視察対象者」の日々」
様々な手柄を立ててきた飛松氏だが、ある日突然「特別視察対象者」に仕立てられてしまった。どういうことかというと、裏金や腐敗の現場に立ち会いながらも、自ら拒否し、自分のプライドを曲げなかった。それについて他の警察官が嫌疑をかけられたことによる。どういうことになるのかというと簡単に言えば警察官が警察官の取り調べを行うというものであり、あたかも拷問のようなこともやるのだという。

第七章「暴力団事務所に単身で乗り込む」
そこから何とか解放され、再び現場に戻ったのだが、今度は事件をきっかけにとある暴力団事務所に乗り込み、事情を聞くと言う仕事であるのだが、文章を読んだだけでもまるでVシネマのような世界が浮かんでくるように思えてならない。もちろん実際にあった、というよりは飛松氏が行った話である。

第八章「つかんだ裏金作りの決定的証拠」
飛松氏は様々な事件の解決に向けて奔走して行ったのだが、その傍らで裏金問題の解決にも取り組んだ。そのなかで警察の裏金についても飛松氏なりに捜査をすすめていた。そしてついに決定的な証拠を掴むことができた。

第九章「バラバラ殺人事件の深い闇」
バラバラ殺人事件のことであるが、飛松氏が定年退職をする直前にお個あった事件である。もちろん飛松氏が刑事として最後の仕事として担当することになった。しかしこの捜査は単純に犯人の追跡だけではなかった。「警察の深い闇」ということでこれまで警察はどのような捜査を行っていたのかを蒸し返すことも含まれていた。

第一〇章「女教師殺人事件の謎に迫る」
警察官退職後にも事件の捜査に関わっていた。それが「加古川女教師殺害事件」である。これは以前有料動画配信サイトで飛松氏が独自に調査を行った事を克明に記録した動画を観たことがあるのだが、その中で不可解な事件の内容ばかりではなく、警察の対応まで動画にて事細かに収められていた。実際に警察はどのように対応してきたのか、そして事件の謎はいったい何なのか、本章でも記されているためここでは割愛しておく。

現在もなお、未解決の刑事事件についての真相究明に心血を注ぎつつ、警察の実態についても暴き始めている。著者の願いはただ一つ。警察が国民のために犯人を成敗するという、そうした本来の警察の在り方に立ち戻ることを願うことをあとがきに記している。