協力と罰の生物学

生物が生き残るためには「競争」は必要なことである。その一方で「罰」というのはいったいどのようなものがあるのだろうか、というのが気になってしょうが無い。本書は生物の競争における「協力」の姿と、「罰」の姿について描いている画、前者は動物と動物、植物と動物など挙げるだけでも枚挙に暇が無いのだが、代表的なものを取り上げている。

後者の「罰」はある事をすることで喰らうのだという。実際に人間でもそういった事をやるような人も少なくないのだが、生き物の世界でも自己利益のためにそのことを行って、実際にそのことを行って、村八分される、あるいは仲間に殺される、というようなことも起こっているのだという。他にもヒトについても取り上げられているが、どちらかというと「罰」の方が多い。もっとも第5章で「ヒトはけっこう罰が好き?」と言うようなタイトルがつけられている。人間は元々「M」か、と思ってしまうような章であるのだが、よくよく見てみると人間としてある、感情と理性がそうさせてしまうような講堂の中に罰を引き起こさせるようなこともあるのだという。そう考えると、人間は罰が好き、というよりも罰を引き起こさせるような行動が好きなのかもしれない。

本書は「協力」と「罰」の姿について取り上げられているが、人間の行動にも通じる所があるから面白いと言える。