ピアノはなぜ黒いのか

うんちく本なのかもしれないが、私自身吹奏楽やオーケストラなどの音楽活動をしていた時にふと疑問に思っていたこととして本書のタイトルのようなものを連想する。ちなみに「黒い」というのは外観のことであり、中身の鍵盤は白と黒とがある。さらに、音が出る弦の部分に行くと、着色されていない部分が多い。

いろいろなピアノを見るとほぼ全部外観が「黒」なのだが、これにはどういった経緯があり、理由があるのだろうか。本書はそのことについて考察を行っている。

第一章「ピアノはなぜ黒いのか」
いきなり本書の核心をつくのだが、「ピアノ=黒い」は日本特有のものである。しかしなぜその考えが広まっていったのか、それは演奏会のピアノで、これらはすべて「黒」でできている。これには理由があり、もともと主役はピアノそのものではなく、演奏者である。なので、ピアノが色で目立っては本末転倒であるから「黒」でなければならない。それが固定観念化し、教育現場でも「黒」のピアノが仕入れられ、やがて固定観念として形成づけられたことが理由として挙げられる。ほかにも購入に際し、高級感を持たせるために黒の漆塗りが流行し、定着したことが挙げられている。

第二章「世界一ピアノを作っている国」
ピアノのメーカーとしてメジャーなものとして「ヤマハ」と「カワイ」が挙げられる。もちろん「黒いピアノ」の固定観念とともに、ピアノは「ヤマハ」か「カワイ」しかない、という印象を持ってしまう。しかし調べたところによると二大メーカー以外にもピアノを製造している会社はたくさん存在しており、世界に裾を広げ転移ると1万2千にも及ぶという。ちなみにこの一部については巻末のメーカー一覧に掲載している。
そして本章の核心として「世界一ピアノを製造している国」は物価が安く、人口も多い、ということだけは言っておく必要がある。

第三章「こんなに大きな音は必要か」
私自身もグランドピアノを弾いたことが何度かあるのだが、押し方によって限りなく小さな音を出すことができ、逆に限りなく大きな音を出すことができる。その原理は鍵盤を押すことによって、ハンマーが弦をたたくので、弱く引くと、弱くたたかれ、音も小さくなる。その逆も然りである。しかし最近では電子ピアノも広がってきており、グランドピアノ・アップライトピアノと同じような大きな音を出すことができる。

第四章「日本のピアノづくり100年」
日本におけるピアノづくりの歴史は1884年から始まる。当初はアメリカやヨーロッパで学んだことを西川ピアノの創業者である西川虎吉が初めてオルガンを制作したことから始まっている。それ以前からアメリカ・ヨーロッパからピアノを輸入し、教育現場で使われ始めた。

第五章「ヨーロッパのピアノの魅力」
日本のピアノとヨーロッパのピアノの違いとは一体何なのか、著者自身の体験談であるのだが、音色にしても、音質にしても、日本とヨーロッパとで異なるのだという。どういった音色が出るのか、音質なのかは実際に体験してみないとわからないのだが、実際に購入した方の体験談がつづられている。ほかにも海外の「名器」と呼ばれるピアノも存在しており、どのような音が出るのか、著者自身も体験したことをつづっている。

第六章「ピアノを調律するということ」
ピアノの調律は非常に細かく、専門の調律師となるための専門学校などの教育機関も設けられているくらいである。もちろんピアノの音を聞き分ける、チューニングハンマーを使って1音1音調律していく集中力も必要であるし、何と言ってもピアノそのものの寿命についても理解する必要があるため、並大抵のことではできない。
しかし調律師の中には世界的なピアニストのお抱えとなる方もいて、「この調律師が調律したピアノ以外は弾かない」とまで言わしめた方もいる。(もちろん日本人の調律師にもそういう方が本章にて取り上げられている)

第七章「ホームコンサートをしてみよう」
自分自身本章を見るまで「ホームコンサート」の概念すら知らなかった。「ホームコンサート」は簡単に言うと家の中で行われる内輪のコンサートのことを指すのだが、実際にピアノを持っている所、あるいは観客を集められる、演奏できるスペースが必要になってくるので、狭い日本の家屋ではなかなかできない。もっと言うとアパート・マンションによっては楽器の演奏を禁止している所もあるので、そういったことはなかなかできない。しかしそれでも日本にもかつて「ホームコンサート」が行われていたという。

ピアノは明治時代から日本でも教育機関やコンサートなどで使われてきたのだが、これまで「ピアノはなぜ黒いのか?」という固定観念について問い詰めた本は無かった。その答えが「井の中の蛙」であったというのも本書によってもたらされた新発見である。そう考えると、ピアノの面白さを10倍にも100倍にも楽しむことができる格好の一冊といえるのが本書である。

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