生え抜き タイガースから教わったこと

私自身日ハム・DeNAのファンであるのだが、本書の著者について鮮烈な思い出がある。というのは初めて野球観戦した時のこと、たしか今から17年前の事であるが、その時地元・旭川のスタルヒン球場で阪神vs横浜戦が行われた。その時著者は4番だったか6番だったか忘れたのだが、その時は2ホーマーを打つなどの大活躍で、チームの勝利に貢献したことをはっきりと覚えている。しかしその活躍もあってか「代打の神様」という異名をつけられていたこと自体知らなかったと言うことはご愛敬と言うことで。

本書の話に戻るが、著者は1991年に阪神に入団してから一貫して阪神にいたときの20年間を綴っている。

第1章「“1打席”にかける醍醐味」
元々著者は長きにわたりタイガースに在籍したのだが、レギュラーだった時も、さらには四番だったときもあった。しかしその一方で代打要員に回された時もあった。特に「代打の神様」という異名がつけられたのは、現役も後半にさしかかった時からだった。1試合という思いから、1打席くらいしか出ることがなくなった時に、著者は元祖・代打の神様と呼ばれていた八木裕氏の存在もあり、代打に対する抵抗はあったのだが、その存在に少しでも近づけるべく、1打席にかける思いを募らせ、バットに込めていった。

第2章「芽生えたプロとしての自覚」
著者は1991年にドラフトで入団したものの、最初はそれほど活躍ができていなかった。しかしその活躍できていなかった時にトレーニングの重要性やプロとしての心構えなど、本当の意味での「プロ」の世界をまざまざと知る事となった。

第3章「“四番”から“控え”という挫折の中で」
1995年頃からスタメンで活躍し、四番に入るほどの大活躍だった。しかし2000年に入ってから代打としての起用が多くなり、苦しい状況が続いた。しかし自身の苦境以上に、チームも3年連続最下位に甘んじる状態だった。しかし自身が苦境に立たされた中で役割を見出しながらチームを鼓舞し続け2003年には18年ぶりのリーグ優勝をつかむことができた。

第4章「タイガースひと筋20年の人生」
著者は阪神に入団してから20年以上、のべ8人もの監督の下で戦ってきた(代行も含めると9人)。現役生活の中で8人の監督で学んできたこと、そして著者自身の思う阪神タイガースとはいったい何なのかを綴っているのが本章である。

著者が現役引退をしたのは昨年だった。本書が出版されたのが2011年だったのだが、それ以降も現役生活を続けており、のべ22年の現役生活を全て阪神タイガースに捧げたと言うのだからタイガース愛は強かったとも言える。その姿が本書を通じてありありと表されている。