生きるとは、自分の物語をつくること

自分自身「生きること」で悩むことが多い。その「生きる」とは何なのか、それは全くと言っても良いほどわからないことがある。しかし本書は「自分の物語をつくる」ことにあるという。確かに様々な自伝が存在しており、それらがあたかも「物語」のごとく書かれているため、そういえるのかもしれない。しかしそれはなぜ名付けられたのか、そのメカニズムについて対談形式で取り上げている。

Ⅰ.「魂のあるところ」
「魂」と言う言葉は「生きる」うえで必要なものの一つとして挙げられている。しかし「魂」と聞くと、形のあることを是としている方々が疑問符を持ってしまう。しかし形のないものは「以心伝心」であったり、考え方や心構えなどで形成づけられていたりと、得体が知れない。しかし「魂」を育ませるためにはどうしたらよいのか。本章では小川洋子氏のベストセラー作「博士の残した数式」をもとに対談している。

Ⅱ.「生きるとは、自分の物語をつくること」
なぜこのタイトルになったのかというと、対談を行っている2人は方や作家、方や心理学者である。その中で作家は物語を描く立場にあるため、生きることそのものが自分自身の物語にしたためる立場にある。自分自身の生きること、気づき、そして考えたことを物語にしていく。
対談相手の一人である小川氏は20年以上に渡って小説を描いてきた。その小説を作っていく中でどのような考えを持つのか、それを心理学者が斬り込み、そして作家が答える。

物語は生きることそのものなのかもしれない。それは私が感じたと言うよりも、対談相手の一人である小川洋子氏が証明している。「生きること=物語をつくる」ことそのものはまさに人生そのもののあり方を見いだしているのかもしれない。