スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。~本当のホスピタリティの話をしよう

方や世界中に展開するコーヒーショップ、方やこちらも世界中に展開している高級ホテルと、活躍している舞台・業界は全くと言っても良いほど異なっている。しかし共通しているのは、「ホスピタリティ」と呼ばれるものである。「ホスピタリティ」については以前の書評で詳しく取り上げられているので割愛するのだが、「ホスピタリティ」の観点から、本書のタイトルにあるような関係になっているのだという。本書はスターバックスの元CEO、リッツ・カールトンの元日本支社長の両者が「ホスピタリティ」「ブランド」「ミッション」について対談を行っている。

第1章「ホスピタリティはいかにして生まれるのか?」
「ホスピタリティ」は接客などの場でよく言われるのだが、そもそもどう行えば良いのか、高野氏は長野の雪の日に使われる「隣三尺」という表現を用いている。よく引越しで使われる「両隣三軒」とはことなり、雪の日にお互いに雪を片づけ合うことから来ている。
この「隣三尺」がなぜ来ているのかというと、チェーン店には接客から心構えに至るまで細かなマニュアルが存在する。しかし本当の意味でホスピタリティを行うためにはマニュアルを学んでいるだけでは心がけることができず、マニュアルを越えて、心からお客さん・取引先に尽くすことによって、相手にとって満足することができる。

第2章「ブランドはいかにして育つのか?」
スターバックスもリッツ・カールトンも立派な「ブランド」である。世の中には様々なブランドが存在しているのだが、すぐに消えていく、もしくは認知されないまま終わってしまうケースも少なくない。
そのブランドをいかにして育てるべきなのか、コントロールやミッションについて取り上げている。

第3章「御社のミッションはなんですか?」
「ミッション」とは、

「チームとして責任を持って成し遂げるべきと考える任務のこと」「MBA経営辞書」より)

とある。会社にある企業理念や社是と言うと言うよりも、目標を達成するための行動指針・仕事指針を表している。スターバックスにしても、リッツ・カールトンにしても、ミッションを持っているのだが、そのミッションはいかにして作り、実行していったのかについて取り上げている。

第4章「おもてなしと日本人の感性」
アメリカなどの英語圏では「ホスピタリティ」と呼ばれているのだが、日本では「おもてなし」を指しているのだが、両者とも本質が異なっている。その異なっている要因が日本と英語圏の「感性」の違いによるものであるのだが、以下に違うのか、そして日本における「おもてなし」をどのようにしてビジネスに活かすべきか、そのことについて取り上げている。

本書の冒頭で異なる2つの企業の共通点は「ホスピタリティ」があると書いたのだが、他にも元々英語圏のチェーンを日本に展開したこと、そしてそれらにあるホスピタリティやミッションを日本にアレンジメントしたと言う共通点が挙げられる。そのため元々日本にある「おもてなし」の文化をいかにして活用していくのか、それを「ホスピタリティ」の観点から対談を行った一冊である。