なぜ他人の不幸は蜜の味なのか

「他人の不幸は密の味」

と言う言葉を読く聞く。昨年のクリスマスイブでも「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」があり、他人の不幸話をあたかもお笑いの如く見ると言うことがあった。それだけ不幸話が密の味の如く甘美で、なおかつ癖になるという。

本書はタイトルにある言葉のメカニズムについて、科学的な見地から紐解いている。

第一章「「隣の芝生は青い」を科学する」
本章のタイトルにあることわざだが、類語として「井の中の蛙」があるとおり、自分の知っている外の世界は何も知らないことを表している。このことわざで表される感情の一つとして「妬み」があるのだが、その「妬み」のメカニズムについて表している。

第二章「他人の不幸は蜜の味」
「妬み」を表す感情を喩えたことわざはいくつも存在するのだが、本書のタイトルにある「他人の不幸は密の味」もまた然りである。しかし「妬み」の感情の原因として「脳科学」という学問の観点からfMRI(functional magnetic resonance imaging:機能磁気共鳴画像法)などを用いて解き明かしている。

第三章「脳科学によって「心の動き」を分析する」
心の動きは脳の動きと連動している。連動しているメカニズムは脳の動きとしてどのような影響を与えるのかについて分析をしている。

第四章「時代とともに変わりゆく心の治療」
21世紀前後から「うつ病」をはじめとした「心の病」が広がりを見せ、今もなお蔓延している。そのうつ病をはじめとした「心の病」の治療、いわゆる「心の治療」について、脳科学の発達と同時に多岐にわたるようになった。その原因とこれからの発展について取り上げている。

第五章「脳研究から人間がどこまで見えてきたのか」
脳科学における脳の研究は解明が進んでいるのだが、まだまだ解明されていないところも多い。しかし長い歴史の中で心と脳についてはおおよそながらわかってきた。そのわかってきた経緯について取り上げられている。

ことわざからくる感情、そしてその感情が脳科学の観点から研究されている本は珍しい。珍しいタイトルであり、研究であったのだが、その「珍しい」ところから新発見できる一冊と言える。