未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

社会が変化するのと呼応するように、働き方も変化する。その変化に対応できる・できないによって、生き残れるかどうかが決まっていく。これは「生存原理」に似通っているのだが、人、特に日本人は「変化」を忌み嫌う。本書のように「働き方を考える」事すら嫌い、現状維持を心がけてしまう。しかし現状維持では生き残ることは不可能である。そのために本書は「働き方を考える」ことについて提示している。

第一章「現状維持の先にある未来」
高度経済成長の時代は一流の企業に就職し、結婚し、マイホームを建て、定年まで働くことが当たり前のように考えられていた。しかし現在では終身雇用が保障されている企業は、標榜しているとはいえど、実際に行われているのは少数である。事情によってリストラされたり、天職をする必要性が出たりする。
また年金受給も60歳からすでに70歳に引きあがるほどにまでなり、定年自体も60歳から、65歳へと延び続けている。ましてや「グローバル化」の波により、外国人労働者も次々と日本にやってきている。
その状況の中で現状維持がいいのだろうか。本章ではそのことについて疑問を呈している。

第二章「世界を変える3つの革命的変化」
ここで取り上げている「変化」は以下の3点である。

1.IT革命
2.グローバリゼーション
3.人生の長期化

この3つによる変化によって、「個」が重要視され、日本で働けば安全という概念が崩れ去り、働く人生そのものが変わってきている。

第三章「新しい働き方を模索する若者たち」
そのような「変化」の中で若者たちは、割を食らっているように見えて、実は他らしい働き方を模索している。そう「変化」に対応するように。その一方で、公務員や大企業に就職するといった「安定志向」を求める人も少なくない現状にある。
しかし「仕事」そのものの考え方は「生活」を安定させるなどの理由として挙げられたのが、「やりがい」や「人生のスパイス」というような考え方を求められるようになった。

第四章「ふたつの人生を生きる」
本書のサブタイトルに「人生は二回、生きられる」とあるが、その理由は「職業人生」を二回、ないし三回などに分けることができる、という意味合いを持つ。簡単に言えば、最初にやり始めた仕事が一生続くのではなく、転職をしたり、独立をしたりして、「第二・第三の人生」と呼べるような人生に切り替えるというものである。職業における選択は必ずといってもいいほど高校や大学卒業前の「新卒」だけではなく、第二・第三と選択する機会はある。

第五章「求められる発想の転換」
変化とともに求められるのは考え方、いわゆる「発想の転換」である。その転換は何の転換か、というと「お金」や「働き方」はもちろんのこと、「寿命」などの生き方そのものにまで及ぶ。

わたしたちは「働くこと」についてこれまで何一つ不自由しなかった。もっと言うと、経済が豊かになり、モノが豊かになればそれでよかった。しかしバブルが崩壊してから、働き方そのものに変化を起こす必要が出てきた。その「変化」をいかにして対応するのか、本書のように「考える」ことが最初の一歩ではないだろうか。