時計の時間、心の時間―退屈な時間はナゼ長くなるのか?

人は誰しも「退屈」になってしまう。その「退屈」な感情に陥ると時間そのものが「長い」という感覚になってしまう。物理的には全く変わらないのに、感覚としては長く、かつ遅くなってしまうのはいったいどのような差があるのだろうか、本書はそのことについて考察を行っている。

第1章「時間を知る」
元々時間の概念ができたのは4~5世紀の時にローマの哲学者・アウグスティヌスが指摘したことから始まりである。その後哲学的な観点から「時間」とは何かについて紐解いた哲学者は数多くいる。ただ時間の計測に関しては古代文明の時代からそれぞれの文明でもってつくられ、やがて現在使われている太陽暦(一部地域では太陰暦)が開発され、使われ出した。

第2章「人間にとっての時間」
今では壁掛け時計や置き時計、さらには携帯電話でも時間が数字で出てくるのだが、他にも「体内時計」と呼ばれるものが存在する。その体内時計は五感をはじめ体調などの面がそのまま反映され、実際に動いている時間よりも異なる時間の動き方をする事が多い。

第3章「心の時間の特性」
本書のタイトルにある「心の時間」は感情によって長く感じたり、短く感じたりすることがある。本書のタイトルにもあった「退屈」を始め、本章では「恐怖」と言ったネガティブな感情を持ってしまうと時間が長く感じてしまう一方で、ゆったりするなど心的に落ち着いているときには短く感じてしまうという。

第4章「時間と錯覚―0.1秒前の世界」
私たちが見ている世界は実際に動いている時間よりもだいたい0.1秒遅い。そういうことを聞くと疑うのも無理もないのだが、目やみ見で得た情報は脳内で映像・音声などの処理を行う必要がある。その時間がだいたい0.1秒と言われており、それが時差としてずっと残る。その時間の遅れは個人差によるものの、それによる「錯覚」も生じるのだという。

第5章「時間のカスタマイズ」
ではその時間をいかにして利用していけば良いのか、今を楽しむ、楽観的に使う、テンポを把握する、優先順位をつける、スポーツを行うなど方法を伝授している。

心の時間は自分自身の感情でもってコントロールをする事ができる。そのコントロールを行うためには予め自分自身、そして時間の概念を知ることにある。哲学的に考察を行った一冊なので、読み解くのは難しいのだが、それでも時間に対する意識が変わると言っても過言ではない一冊と言える。