リアル30’s

本書は私自身そろそろ30代になるために、実際の30代の現状と対策を考えるために手に取った。もう間もなく齢30を迎えることになる私だが、実際に30代はどのような時期なのか、現在ではどのような定義なのか全くと言ってもいいほどわからない。30代を迎えるにあたって、自分自身がどのような立ち位置になるべきか、そして30代そのものがどう変わるべきかについて本書は毎日新聞取材班が実際に多くの30代の方々に取材を行ったことをもとに紹介されたものを見て考えることにする。

第1部「働いてる?」
私の世代の就職事情は今ほどではないものの「売り手市場」と呼ばれるものだった。しかしきちんとした応対や確固たる理由など話すことができなければ、どんなに売り手市場でも落とされるという環境にあった。その中で私自身札幌・東京と就職活動に回った。
そうしていくうちに見つけた就職先は、私自身にとって楽しいものだった。もちろん苦しいときはあるけれど、中学生の頃からずっと入りたがっていた業界であり、ある程度の予習することができた。もちろん不安は無いわけではなかった。ここでも取り上げられている「歯車になるのだろうか?」「誰かの役に立てるのだろうか?」「つながって生きているのだろうか?」というような、いわゆる「生きづらさ」と言うのもあった。
本書で取り上げられる30代は私とほど近い世代である。そのため、自分自身でも同じような問題に直面しているものもある。もちろん非正規雇用ではないものの、周囲では私と同い年でありながら非正規雇用であり、私の想像を絶するほど過酷な環境に置かれている方々もいる。

第2部「変えてみる?」
仕組みは今も昔も同じように続くわけではない。どこかで「変化」をしなければやっていけない。それは人間も会社も、そして社会システムも同じ事が言える。そう考えると、今の30代を見ていると、「変えるべき所」というのはあるのではないか、という一つの解が出てくる。ここでは、30代のために現在変化が行われているもの・場所、そしてこれから変化すべきもの・場所について取り上げている。

最初にも書いたとおり、私はもうそろそろで「30代」となる。論語によると30代は「而立(じりつ)」と呼ばれており、人間的に物事を考え、独立することができる年代を指している。しかしそういった「而立」ができる環境にあるのか、そしてきちんとした「而立」ができるのだろうか、自分で考えるべき所も多いのだが、その考える上で現状を知るという意味で役立つ一冊である。