時間旅行は可能か?――相対性理論の入り口

ドラえもんのようなアニメやバック・トゥ・ザ・フューチャーのようなSF映画にて、過去・未来かかわらず時間旅行をする様子が映し出されることがある。いわゆる「タイムマシン」を使っているわけであるのだが、現実に時間旅行をするのであれば、本当に可能なのか、もしそうなるためにどのような要素が必要なのだろうか、本書はアインシュタインにより確立された「相対性理論」とともに説明している。

第1章「時間旅行の予備知識Ⅰ―運動と時間」
本章と次章にて時間旅行をしたい、と言うことを前提にして、どのような知識が必要なのか、その予備知識を取りあげている。本章ではその中で物理における「運動」と「時間」の関連性について「特殊相対性理論」をもとに取りあげている。

第2章「時間旅行の予備知識Ⅱ―重力と時間」
ここでは、「重力」と「時間」との関連性について取りあげているが、その題材が相対性理論のなかの「一般相対性理論」がある。もっとも「一般相対性理論」自体が「重力」に関する理論といえる。(ちなみに前章で取りあげた「特殊相対性理論」は速度に関する理論である)

第3章「ワームホールタイムマシン」
タイムマシンが出てくる作品の中には「特異点」と言う言葉が出てくるものもある。その「特異点」こそ「ワームホール」と呼ばれるものであり、「時空の虫食い穴」と呼ばれる。その「ワームホール」はいかにして発生するのかについて取りあげられているが、著者曰く現時点で人工的にワームホールをつくるのは不可能であるという。

第4章「タイムマシンのパラドックス」
タイムマシンというと、過去・未来へ容易に旅行ができるイメージを持ってしまうのだが、もし「負の側面」があるとしたら何があるのか、そのことについて取りあげている。

第5章「時間はなぜ流れるのか」
これまでタイムマシンを機軸に取りあげてきたわけであるが、結局の所、それらの考えは「時間」の流れは物理的にどのような作用があるのか、という疑問に帰着する。その作用について宇宙の理論とともに紹介している。

タイムマシンというと、「空想科学」でもって取りあげられるイメージを持たれるのだが、本書は「相対性理論」を解き明かすためのツールとして役立つのではと思える。物理学でも非常に有名な理論なのだが、実際にどのようなことを言っているのかピンとこない方も多い。そう考えるとタイムマシンは格好の題材と言えるのではないだろうか。