臣女

本書を読んでいくとタイトルは「臣女」というよりも「巨女」と銘打った方が良いのではないかとさえ思った。とはいえ何らかの病気で介護をする姿を、「臣」の本来の意味である「仕える人」という意味合いから「女性に仕える」という意味合いで「臣女」というタイトルになったと言える。ちなみにどのような病気なのかは、本書の根幹に入ってくる(と言うよりも最初に書いてしまったのだが)ため、ここでは割愛する。

最初にも書いたとおり本書は「ある病気」を患った妻を献身的に介護する夫の物語であるが、介護の最中、会社の同僚や母親、隣人の横やりで何度もくじけそうになっても、妻を愛し、支えようとする姿を描いている。本書を描くにあたって実際に介護を行ったのか、もしくは介護現場を取材されたのか、定かではないものの、介護の描写は「生々しい」どころか、実際に文章を読んだだけながら、感触が残ってしまう。

それでも献身的に支える夫には過ちがあり、その影も残っている状態にあった。そんな「極限」と言われる状況の中でも変わらぬ愛を持った夫の姿は何ともいえないような感じだった。