子育てはもう卒業します

今となっては多種多様になっているのだが、戦後間もない時から高度経済成長期にかけて、男性の場合は良い大学を出て、一流の企業に就職して、結婚して、子どもを授かり、マイホームを建てるというような道が一般的だった。女性の場合も良い大学を出て企業に就職するまでは良いのだが、そこから結婚して寿退社し、専業主婦として家事や子育てに勤しむ毎日を送る。

そういった時代の人達にも子育てや家庭、仕事に関して何かしらの悩みを抱えていたという。本書は高校卒業を機に故郷を離れた女性たちの群像劇である。女性たちはそれぞれ大学に通う、仕事をする、主婦業に勤しむといったことを行いつつ、3人が共通していることは子どもを授かり、子育てを行っているところにあった。

本書のタイトルにある「子育ての卒業」はいつになるのかは分からないのだが、高校を卒業してから独り立ちをするような所もあれば、高校卒業をしても、熱心な親は良い大学に通わせるようなことをする所もある。その要因には親それぞれの事情があるのだが、その異なる「事情」は女性たちの境遇が繁栄されているようでいてならなかった。