フロントランナー―挑戦する科学者

科学者というと昨年話題となった新細胞の学者が話題にあるが、実際には見えないところで研究を進め、新しい技術やモノに対して追求の日々を送っている。その最前線(フロントランナー)で挑戦を続けている科学者について、本書は取り上げている。

1.「宇宙・世界を理解する」
まずは宇宙を観点に「超弦理論」や「ビックス粒子」「素粒子」などの研究を進めている科学者を紹介している。宇宙にはまだ謎が多いのだが、その多い「謎」を次々と解き明かしている姿が垣間見える。

2.「ミクロ・量子の世界を究める」
ミクロや量子の中には「電気」「時計」「超電導」が挙げられる。その分野を見てみると、一見して実用的な研究ではないのではと思ってしまうのだが、パソコンや時計などの技術に転用することができるという。

3.「化学の力で新しいものを作る」
化学としての研究を通じて「貯蔵容器」や「触媒」「プラスチック」の開発の基礎を研究し続けている方々を取り上げている。化学というと、分子や元素などの研究をイメージしてしまうのだが、本章のような実用化も視野に入れている。

4.「生き物に魅せられて」
「生き物」とひとえに言っても、植物や動物などが挙げられる。その生き物の中にはまだ発見されていないもの、すでに発見されていても、まだ解明されていないものも存在する。その生き物に対して追求を続けている研究者について取り上げたが本章である。

5.「ヒトを理解する」
ヒトというと臓器や骨格、感覚などが挙げられるのだが、ほかにも睡眠や文字認識、運動機能に関する研究が進められている。もちろん研究のほかにもAIなどのロボット開発、さらにはソフトウェアの開発の基礎として研究を進めているところもある。本章ではそのことについて取り上げている。

6.「次世代医療を担う」
医療の進歩は著しい。最近でもiPS細胞など細胞研究から医療の進歩を続けているところもある。本章ではその細胞や遺伝子などから研究を進め、次世代医療の開発を行っている研究者を取り上げている。

7.「難病・感染症を克服する」
6.の医療研究に関連して、今まで治療法や原因が解明できなかった病気もあれば、新しく出てきた感染症についての研究も進められている。

8.「地球を見る・探る」
本章では「地球」についてどのような研究を行っているのかというと、「火山」や「レアアース」「農地発見」といった研究を本章にて取り上げられている。特に「農地発見」「火山」は地球上での研究というよりも「宇宙」から地球を俯瞰して見ているといった方が良いのかもしれない。

9.「フロンティアを拓く」
未知なる公式や概念を求め、切り拓こうとする方々がいる。本章でその研究者を取り上げているが、「おもちゃ箱の研究」といったユニークなものから「微分方程式」や「幾何学」といったどちらかというと「数学」の分野から研究している方もいる。

本書のように取り上げられた研究者はメディアではあまり取り上げられない。むしろ私たちの生活のあずかり知らぬところで日々研究を進め、その研究が成功し、実用化することで、はじめて陽の目を見ることになる。その陽の目を見る前にどのような研究が進められているのか、そのことを知ることのできる一冊といえる。