独創はひらめかない―「素人発想、玄人実行」の法則

「独創」というとアイデアやひらめきを連想してしまうのだが、タイトルから見てすると、そうではないのだという。では独創はいかにして作られていくのか、そしてその「独創」的なものや考えがいかにして形になっていくのか、そのことについて伝授している。

第1章「素人のように考え、玄人として実行する―発想、知的体力、シナリオ―」
そもそも「独創」はいかにしてできるのかというと、荒唐無稽な考えから出てくるといえるのだが、その「荒唐無稽」なものがいかにして出来上がるのかというと「遊び心」が重要な要素としてある。その「遊び心」によって幼稚な考えだったり、素直な考えだったりが出てくる。あたかも素人のような考えが新しい「独創」を生み出し、それを実行していくには、様々な経験から「玄人」として行うことが大切であるという。なぜ玄人なのかは、本章において、著者の失敗談から来ている。

第2章「コンピュータが人にチャレンジしている―問題解決能力、教育―」
コンピュータが人間にチャレンジするというと、2013~2015年までの毎年3~4月に行われた将棋の「電王戦」が行われたことが印象に残る。そのコンピュータが人間の思考や計算に挑むような試みは電王戦以前にもチェスなどで行われた。世界的にも有名なものとして当時チェスの絶対王者だったガルリ・カスパロフがコンピュータのディープブルーと闘い、敗れたのがある。
そういったゲーム以外にもコンピュータが問題解決を行う、あるいは教育を行う面でコンピュータが人間に対して行う試みについても本章にて取り上げている。

第3章「自分の考えを表現し、説得する―国際化時代の講演・会話・書き方の技術―」
スピーチやライティングなど、自分から相手に対してどのように伝えていくか、表現していくのかが問われる。特に国際化の時代になると、英語でそれを行ってくることになり、現に国際的に展開している企業では強く求められている。ちなみに本書はあくまで「独創」と形にしていくことがあるのだが、それを前提とした伝え方を取り上げている。

第4章「決断と明示のスピードが求められている―日本と世界、自分と他人を考える―」
ビジネスの舞台では「スピード」が強く求められる。その求められている中で「決断力」が必要になってくる。その決断を行っていく中で「リーダーシップ」や「勇気」などの要素があるのだが、ほかにも決断をした後にうまくいくかいかないかによって方向転換をしたり、評価したりすることも本章にて取り上げられている。

「独創」というとひらめきや思い付きのように思えるのだが、実のところ「遊び心」であり、なおかつそれを形にしていくには、コミュニケーションや決断などビジネスにおいて必要な能力が求められることがよくわかる。「独創的な発想やもの」を求められる場合、自分はいかにして作り出すべきか、それを本書でもって教えてくれる。