地方自治のしくみがわかる本

政治は何も国会ばかりではない。また国からのサービスもあれば、都道府県・市区町村が行っているサービスも存在する。特に後者の場合はその地方に対応し、きめ細やかなサービスを行うことができる。
しかし、本書にある私たちと行政との間にある地方自治はどのようなこと・サービスを行っているのかわからない部分がある。本書は知られざる地方自治のしくみを、長らくその現場にいた人が解説している。

第1章「私たちの暮らしと行政サービス」
地方自治で行われる行政サービスは、私たちの暮らしと密着している。その理由として「ゴミの出し方」から、広報、さらには道路工事や公共施設の使用などが挙げられる。

第2章「どうして地方自治があるのだろうか」
そもそも国があるにも関わらず、地方自治は存在しているのか。地方自治は実をいうと、憲法92~95条にて保障されており、地方単位で自治ができるように作られていたのだという。本章ではそのことについて戦後の歴史とともに解説している。

第3章「住民が地方自治の主権者」
日本国憲法上、国の主権は国民であるが、地方自治体はどうなのか。国の主権の論理と同じく、地方自治は地域に住んでいる住民を指しているという。それはいったいなぜか、本章ではそのことを説明している。

第4章「自治体の組織は二元代表制」
では自治体の代表は誰かというところだが、本章によると「二元代表制」を取っているという。その理由として憲法として保障されているところにある。

第5章「住民は政治に参加できる」
国とは違い地方は直接政治に参加することができる。その一例として「リコール」、さらには「住民投票」が挙げられる。

第6章「政策はどう決まり、どう実施されるか」
国の政策と違い、地方の政策は私たちの生活に大きくかかわってくる。その政策が決定するのは議会であるが、議会で決まった政策はどのように実行されるのか、そのことについても言及している。

第7章「自治体財政はどうまかなわれているか」
国の歳入と言うと国債などがあるが、主たるものとして税がある。では地方自治体はどうなのか。国と同じく税もあれば、他にも地方債や国県支出金などがあるという。

第8章「国と自治体はどうなっているか」
国と自治体の関係はどれくらいの深さがあり、広さがあるのか。本章ではその関係性について法律などともに取り上げている

第9章「地方自治の過去・現在・未来」
地方自治は今までどのような存在だったのか、本章ではそのことについて江戸時代における「ムラ」からさかのぼり、明治時代以降の自治体の存在を取り上げつつ、現状を鑑みながら、これからの自治体はどうあるべきかを説いている。

第10章「地方自治の未来のために」
自治体の未来のために、改革を行っている所も少なくないのだが、果たしてその改革がどのように行われ、どのような未来を目指しているのか、それについて取り上げるとともに、これからどうあるべきかについても著者の観点から提言している。

地方自治はこれまでもこれからも私たち住民に対してサービスが行われる。もちろんその対価として「税金」を納めることなどもあるのだが。その地方自治についてまだまだ知らない部分を本書が補ってくれる。