災害復興の日本史

東日本大震災から5年の歳月が過ぎた。私は鎌倉に住んでいるのだが、震災当日は東京で働いていた。東京でも最大で震度5強、さらにその後も数度にわたる震度4クラスの地震が襲い、未知の恐怖に襲われたことを今でもはっきりと覚えている。東北では壊滅的な被害に遭い、福島第一原発周辺では今もなお戻れない方々がいるのだという。復興に向けて進んではいるものの、まだまだ復興に向けての課題は山積としている状態にあるという。

この震災に限らず、地震・台風・火山噴火など様々な災害に見舞われるのも日本の特徴として挙げられる。本書は古代から現代に至るまで日本ではどのような災害に遭い、復興していったのかその足跡を追っている。

<古代の災害復興―自力再建の時代>
本章でいうところの古代は奈良~平安時代のことを指している。その時には東日本大震災と類似していた地震と言われる「貞観地震」をはじめ様々な自身が起きただけではなく、富士山や浅間山などの大噴火、さらには飢饉や風水害もあったのだと言う。
さらに言うとこのころは疫病もまた「災害」として扱われた。その代表例として奈良・平安時代に起こった「天然痘」の大流行があった。天然痘は致死率が高い(およそ90%)病気と言われ、運よく生きられたとしても全身にあばたが残るという病気である。
そういった災害の中で人々、さらに貴族たちはどのようなことを行ってきたのかを綴っている。

<中世災害と被災者たち>
中世(鎌倉~室町時代)にも古代と同じように地震や飢饉、風水害、疫病もあったのだが、ほかにも大規模な火事にあたる「大火」もあった。それらの災害の被災者はどのように復興し、そして生きながらえたのか、そして災害に関する死者はどれくらいだったのかも言及している。

<近世の復興を支えた人々>
近世にも「元禄地震」や「宝永大地震」といった地震、さらには富士山噴火や享保の大飢饉など歴史の教科書にも出てくるような災害が起こっている。古代から言えることだが、一つの災害でも災害対策が行われているものの限界があり、百人単位、ひどいときには万~十万単位の死者に上るのだという。しかしその災害でも復興の支える方々は少なくなく、そのことで災害前に戻っただけではなく、災害前以上に栄えたというところもあるという。

<濃尾地震から阪神・淡路大震災へ>
近現代の中で特に有名な自身として挙げられるのが「関東大震災」である。この地震では10万人ほどの死者が出たのだが、それ以上に被害が大きかったのが火災による被害だった。それに関する死者もその10万人のなかの多くが占められていたという。
また本章のタイトルにある濃尾地震も近現代で有名な自身の一つであるのだが、その地震の状況と死者、さらには復興について詳しく取り上げられている。

日本は「災害大国」と呼ばれるくらい毎年のように災害に遭っている。もちろんそれは台風の被害もあれば、水害、火山噴火、地震などさまざまである。この歴史をいかにして学び、災害対策に役立てるのか、それはあなた次第である。