まちの本屋―知を編み、血を継ぎ、地を耕す

私はこういった書評ブログをやっている人間なので、本好きであることは間違いない。もちろん小さいころから、まちの本屋に行くことが好きで、毎日のように本屋通いしたことがある変態である(現在も毎日のように本屋に通う変態だが)。しかし最近では大型書店が続々と出てきたことにより、地域に根付いた「まちの本屋」がドンドンと潰れている現状にある。しかし「まちの本屋」の中には独自の変化や考え方で生き残り、大型書店といい勝負をしている所もある。本書はそのユニークな方法を紹介しているというよりも、まちの本屋とはどのような存在か、そしてどのようにして生き残るのか、そしてこれからについて取り上げている。

第1章「僕はまちから本屋を消した」
「まちの本屋」と言うとただ本を売るだけなのかと言うと、本屋によっては「そうではない」という。いわゆる「何でも屋」としての役割を持っている本屋も存在するのだという。しかしメインは本の販売である。その本の販売について近くに大型書店ができたなどの要因によって本屋が倒産するというようなことがあるという。そこから生き残るために、様々な所と提携を結ぶなどがある。

第2章「本屋はどこも同じじゃない」
皆さんは普段「本屋」に足を運んだことがあるか。もし運んでいるならば、複数の本屋に足を運んだことがあるか。
この質問で両方Yesと答えた方であれば、本章のことはわかるかもしれない。と言うのは、大型も「まちの本屋」も関係なく、同じような本を販売するようなところはあれど、売り場の形などすべて「同じ」と言うような本屋は存在しないのである。もっと言うと「まちの本屋」といって地域密着の本屋になってくると、差はかなり大きくなってくる。その理由として、その本屋のカラーや地域の需要に合わせて本を仕入れるため、本のラインナップが特徴的になってくる。

第3章「一度やると本屋はもうやめられない」
本章は著者、あるいは書店を経営されている方であれば理解できるかもしれない。書店をやっていくと、本の仕入れなど様々な業務がある。それらの業務の中で、本に触れることもあるのだが、本を通じた人の出会いを得ることができ、そして相手の変化に立ち会えることができるという。そのこともあって「本屋はやめられない」のだという。

第4章「本屋には、まだまだできることがある」
「まちの本屋」に限らず、本屋の数もだんだんと減ってきている現実があるのだが、それでも本屋は単純に本を売るだけの場ではないということが本屋通いをしている私でも言える。もっとも「まちの本屋」に限らず、地域密着をしている本屋はまだまだ独自の手段をとることができ、そのことによって生き残ることができるという。単純に本を売るだけではない「まちの本屋」の「価値」とは何か、本章はそのことについて取り上げている。

第5章「まちの本屋はどこへ向かうべきなのか」
しかし本屋は、実在する店舗ばかりではなく、Amazonや楽天ブックスなどのネット書店もある。それらとの競合がどうなっていくのか、そして「まちの本屋」の立ち位置はどうなっていくのか、そのことについて分析をしている。

「まちの本屋」は減少しては行くけど、完全になくなることはないと私は本書を通じて断言したい。そもそも「まちの本屋」は地域に根差しているだけではなく、本を通じた地域のコミュニケーションが栄え、本を売るだけでは築くことのできない「体験」を行うことができる。「まちの本屋」にはそれがある。