戦略は歴史から学べ―――3000年が教える勝者の絶対ルール

著者の鈴木様より献本御礼。
人生には様々な場面で「勝負」がある。その勝負に勝つために「戦略」がつきものであるのだが、その戦略はどのように作ったらよいのか、どのような力が必要なのか、その方法について示した本は少なくないのだが、本書のように過去の戦いからの教訓とともに取り上げている本は少ない。しかも取り上げられている戦いは古代から湾岸戦争に至るまで幅広く例示している。

第1章「古代の戦いから「戦略思考」を学べ」
本書で取り上げている戦争で最も古いものとして紀元前9世紀に起こった「ペルシャ戦争」である。その戦争では数的不利であるにも関わらずギリシャ軍(スパルタ軍)が勝利したというものである。この戦争での教訓として「強みを活かすこと」にあるのだが、本章ではそのほかにもガリア戦争など、紀元前、あるいは紀元直後の戦争とその教訓について取り上げている。

第2章「中国の軍師から「逆転力」を学べ」
中国大陸の「軍師」と呼ばれるような人物は数多くいるが、もっとも有名な人物として三国志に出てくる、蜀の国の軍師・諸葛孔明がいる。本章でもこの三国志の歴史から、どのような戦略が立てられ、実行していったのか、「逆転力」を基軸に取り上げている。

第3章「巨大帝国から「実行力」を学べ」
本章で取り上げる「巨大帝国」は2つある。一つはチンギス・ハンが建国したモンゴル帝国、もう一つは明王朝による中国大陸の統一をした朱元璋が挙げられる。この人の人物が天下人となり、巨大帝国を作り上げた実行力について取り上げている。

第4章「戦国時代から「競争戦略」を学べ」
競争はビジネスの場でも、戦でも存在するという。その「戦」について本章で取り上げるのが戦国武将である。とは言えど、本章は戦国時代だけを取り上げているだけでなく、平安時代末期の源平合戦から源頼朝も取り上げられている。

第5章「植民地戦争から「危機のリーダーシップ」を学べ」
植民地戦争は数多くあるのだが、その中でも「アステカ征服戦争」、「インディアン戦争」、そして「南北戦争」がある。それらの戦争、ほかにも「戦争」と呼ばれるものには必ずと言ってもいいほど「指導者」、いわゆる「リーダー」と呼ばれる人が存在する。その「リーダー」と呼ばれる人物がどのようなリーダーシップを見せたのか、本章はそのことを取り上げている。

第6章「近代の戦争から「組織運営」を学べ」
戦略を実行するにしても、リーダーシップを上げるにしても、ビジネスにおいても、戦争においても「組織」が必要になってくる。その組織を円滑に動かすことが重要になってくる。本章はナポレオンやネルソン提督、ヘルムート・モルトケなどの人物を取り上げながら「組織運営」をどのように行ったらよいかを伝授している。

第7章「西洋列強との戦いから「情報活用力」を学べ」
戦争にしてもビジネスにしても、戦略を構成する要素の中に、必ずと言ってもいいほど「情報」が入ってくる。その情報を収集していくかもあるのだが、集めた情報をいかにして「活用」していくかもかかっている。本章ではその情報活用について大村益次郎や秋山真之などの人物の活躍をもとに取り上げている。

第8章「世界大戦から「イノベーション」を学べ」
「世界大戦」と呼ばれる大戦は2つ存在する。「第一次世界大戦」と「第二次世界大戦」である。この2つの大戦において様々な「イノベーション」があったとされているのだが、どのような「イノベーション」が存在したのか、そのことについて取り上げている。

第9章「現代の戦争から「学習力」を学べ」
第二次世界大戦後もいくつか戦争があった。目立った戦争ではないものの、長期にわたるものとしては「東西冷戦」があり、その中には「朝鮮戦争」「ベトナム戦争」が挙げられる。さらに冷戦終結後も「湾岸戦争」が挙げられる。それらの戦争の中で本章では「学習力」を基軸に、どのような教訓があったかを取り上げている。

本書は戦争、およびその中でリーダーを務めた人物を取り上げながら、戦略とは何か、そして戦略構築・実行に必要な要素は何かを伝授している。ビジネスの現場と言うよりも、戦いの現場であるのだが、それらをビジネスに置き換えて、どのような要素が必要なのかを知り、そして実践する材料にできる一冊といえる。