煩悩の子

「煩悩」とは、

「衆生(しゅじょう)の心身をわずらわし悩ませる一切の妄念。貪(とん)・瞋(しん)・痴・慢・疑・見を根本とするが、その種類は多く、「百八煩悩」「八万四千の煩悩」などといわれる。煩悩を断じた境地が悟りである」「広辞苑 第六版」より)

とある。一見難しいように見えるが、慢心や色欲などの感情がその「煩悩」に含まれると言った方が良いと言える。その煩悩はいつ頃からつくられるのだろうか、それは個人差はあるのかも知れない。

本書は小学5年生の主人公が周囲との「違和感」を覚え、様々な意味で成長していく姿を映し出している。その「成長」の中にはいわゆる「思春期」と呼ばれるものがあり、煩悩にも目覚める時期とも言える。そう言う意味では「煩悩の子」というタイトルは適しているとも言える。

思春期だからでこそ複雑になる心と人間関係の中に芽生え、成長していく煩悩はどのようになって行くのか、繊細に描かれており、私自身の小学校時代をつい思い出してしまった。