銀行の罪と罰―ガバナンスと規制のバランスを求めて

「銀行」と言うと、生活の中ではお金を預けたり、引き出したりするようなイメージがあるのだが、他にも存在する。会社を経営している方であれば、融資を受けると言ったこともあるなど、まだまだ知られていないような業務も存在する。

しかしその銀行は日本の経済を動かすような存在であり、倒産の危機になってくると、公的資金を投入するような事例まで存在する(もちろんそういったことが受けられず倒産した例もある)。本書は銀行がどうして守られるのか、銀行の功罪とはいったい何なのか、著者自身も銀行を勤務した経験も踏まえて取り上げている。

第1章「銀行はなぜ救われるのか」
銀行の危機が訪れたことは存在した。そのことによって倒産した銀行も北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行など、証券会社では三洋証券、山一證券などがある。しかし2000年代に入ると、経営危機に陥った銀行が公的資金注入を受けるというような例も出てきた。有名なものとして「りそな銀行」が挙げられる。なぜ銀行は守られているのか、そこには「プルーデンス政策」と言うのが挙げられる。

第2章「株主からのガバナンス」
言うまでもなく銀行も「株式会社」である。その会社には当然株主がいる。その株主と会社との利害関係はどのようなものか、そして本章のタイトルにもあるようなガバナンスはどのようなものか、本章ではそれについて取り上げている。

第3章「プルーデンス政策とリスクシフト」
第1章にもあったようなプルーデンス政策はどのようなものがあり、問題点が存在するのか、銀行における保険や自己資本比率、さらには景気増幅効果(プロシクリカリティ)が挙げられる。

第4章「金銭的および非金銭的インセンティブを踏まえた政策」
銀行に関する政策は様々であり、大きく分けると金銭的なインセンティブ、非金銭的なインセンティブに分けられる。もちろん個々の政策それぞれに銀行にもたらされるものが存在する。

銀行は良くも悪くも経済の根幹を担っているといえ、その猛威を振るっているように見えるのだが、国・中央省庁などからの規制も数多く存在する。そのことによるバランスもあるのだが、そういったこと諸々を含めて「罪と罰」と銘打っている要因とも言えよう。