しゃらくせえ 鼠小僧伝

私自身も困難があると、本書のタイトルのように「しゃらくせえ!」と言ってしまう。その「しゃらくさい」という意味はいったい何なのか、漢字に直すと「洒落臭い」とあり、

「なまいきである。分(ぶん)をこえてしゃれたまねをする。利いた風である。」「広辞苑 第六版」より)

とある。私自身そういった意味を知らずして使ったのかもしれないが、実際に意味を見てみると、自分自身も「しゃらくさい」人間といえる。

本書の話に移るのだが、本書で出てくる鼠小僧は鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)として知られており、義賊として知られている存在であり、実在した人物であるが、伝説の存在として知られている。その伝説と呼ばれた鼠小僧はそのような側面を持っていたのか、創作でありながら、歴史ではあまり語られることのなかった部分もあり、なかなか面白い。もちろん正義のヒーローとしての側面も見せており、なおかつ鼠小僧の宿敵との戦いも事細かく描かれている。鼠小僧のイメージは本書でもって180度とまでは行かないものの、若干の変化ができる一冊と言える。