幹細胞――ES細胞・iPS細胞・再生医療

一昨年にはSTAP細胞の話が話題となったが、その前にはiPS細胞が話題となった。ほかにも元々あるES細胞が再生医療として役立てられているが、それぞれの細胞は俗に「幹細胞」と言われている。その幹細胞が再生医療に関してどのように役立てられている、あるいはこれから役立てられるのか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第1章「幹細胞ってなんですか?」
細胞について勉強している方であればわかるのだが、私のように初めて聞く方もいる。「幹細胞」とは、

「自分と同じ細胞を生み出し、同時に異なった機能を持った細胞を作り出すことができる細胞」(p.2より)

とある。同じ細胞を生み出すということを考えるとクローンのようなイメージをしてしまうのだが、同じようなものを生み出すことによって細胞の再生を早めることができるため、再生医療の中で役立てられるという。

第2章「胚性幹細胞」
胚性とは簡単に言うと、「胚を持っている」のだが、そもそも「受胎産物」である生物であるという。その生物の幹細胞はどのような特徴があるのかについて取り上げているが、その中にはES細胞も絡んでいる。

第3章「個人用多能性幹細胞」
幹細胞はクローンのような働きがあることを第1章で書いたのだが、実際にES細胞を使ったクローン技術があるのだという。そのクローンを行うことをクローニングと言われるのだが、そのクローン技術がiPS細胞にてどのように活かされているのかを取り上げている。

第4章「多様性幹細胞の能力を活かした治療」
幹細胞の中で再生医療として最も活用されているものとして前章でも一部取り上げ、本章でも取り上げられている「多様性幹細胞」がある。その幹細胞からパーキンソン病、あるいは脳移植に関しての医療でどのように役立つのか、そのことについて取り上げている。

第5章「組織特異的幹細胞」
またも難しい幹細胞の名前が出てきた。どのような細胞なのかというと、

「生まれたあとの個体、つまり出生後に見出される幹細胞は、損傷した組織の修復や組織の更新を担当する組織特異的幹細胞です」(p.77より)

だという。これもまた再生医療に使えるような部分もあるのだが、そもそもどこの細胞が組織特異的幹細胞として使えるのかについても併せて取り上げている。

第6章「組織特異的幹細胞を用いた現在の治療」
第5章にて取り上げた幹細胞が医療の現場にてどのようにして扱われているのか、そのことについて取り上げている。

第7章「現実的な期待、非現実的な期待」
再生医療は大きな可能性を秘めている。しかしその期待は時として現実的なものから、非現実的なものまで存在する。本章ではそのことについて取り上げている。

再生医療はこれからの医療の可能性を秘めている。中でもiPS細胞やES細胞など細胞を使った医療は未知数であり、これが医療技術の進歩にどこまで貢献できるのかまだ定かではないが、明るい未来があると言っても過言ではない。

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