百歳時代―“未病”のすすめ―

もしも自分が百歳になったらと考えたことがあるのかというと、実は一度も考えたことがない。もっとも百歳になる前に亡くなる可能性が高く、なおかつ自分自身短命に終わってしまうのではないかと考えているためである。そのことを考えると本書は自分に適さないのかもしれないが、「もしも自分が百歳になったら」ということは考えて置く必要がある。人生は「わからない」からだ。ちなみに本書は私の住んでいる神奈川県の知事が著している。

第1章「何が人の幸せなのか?」
著者自身が県知事である以前から考えていたことで、定年退職後の人生はどうするか、そして自分自身の「死」とは一体どのように映っているのかを綴っている。

第2章「人生百歳時代のお手本」
長寿を果たした人は少なくない。もう20年以上前になるが百歳を超えた双子として「きんさんぎんさん」が挙げられ、CMに出演したことをきっかけに大ブームとなった。その後百歳を超えた長寿の方はごく当たり前の存在となっていったのだが、当たり前の存在のなかにも、有名な長寿の方々がいるという。

第3章「シルバーベンチャーと学び」
定年後の「第二・第三の人生」として、夢に向かって新たなスタートを切り、邁進していく方も少なくない。そういった方々の人生設計と学びについて取り上げている。

第4章「人生百歳時代と未病」
未病とは、

「検査で明らかな異常がなく、明らかな症状も無いが、少し調子の悪い状態で、病気になる前段階の、心身の微妙な変化」Wikipediaより)

とある。病院に行っても異常がないと言われるため非常に厄介な病気の一種とも言える。その未病をどのように対処していくのか、その難しさを取り上げているのが本章である。

第5章「未病コンセプトの展開」
著者が神奈川県知事として医療・福祉政策の一つとして挙げられるものとして「未病コンセプト」がある。これは何かというと、未病を啓発していく、なおかつ予防や改善をしていく方法を策定し、実施していくプロジェクトである。そのプロジェクトはどのように展開していったのか、そのことを取り上げている。

第6章「ヘルスケア・ニューフロンティア~神奈川の挑戦」
神奈川県は未病対策をはじめとした医療政策を積極的に行っている。その根幹の一つとして「ヘルスケア・ニューフロンティア」と呼ばれるものであり、それが具体的にどのようなものかを取り上げている。

第7章「百歳時代と認知症」
百歳の時代だからでこそ様々な病気対策を行っていく必要があり、「認知症」もその一つである。認知症をケアしていくための方法と問題点とは何かを本章では取り上げている。

第8章「人生百歳時代の設計図」
人生百歳という長く生きる時代だからでこそ「人生設計」は非常に重要なものとして挙げられる。その中で医療政策をどのような設計図を構築していけばよいのかそのことを取り上げている。

百歳の時代と呼ばれる超高齢社会だからでこそ、医療政策を積極的に行っていく必要があり、著者が知事を務める神奈川県では未病をはじめとした医療政策を積極的に行っていることを示している。そのアピールと言える一冊である。