脳に刻まれたモラルの起源――人はなぜ善を求めるのか

モラルは簡単に言うと「倫理」、人間としての行動・考え方における「善」そのものを指している。その指している「善」のあり方はどこに来ているのかというと行動や思考を司る「脳」のあるとも言える。しかしその「脳」がどのようにモラルをつくり上げ、刻んでいくのか、本書はそのことについて取り上げている。

1.「善悪という主観の脳科学」
善悪の分別は元々哲学や倫理学といった学問で行われるべき学問だが、本書はあくまで「脳科学」を主体としている。その主体としている中でなぜ脳科学を主体としているのか、その理由を述べている。

2.「五つの倫理基準」
倫理にはいくつかの「基準」が存在するのだが、その「基準」は五つあるのだという。その五つの基準とはどのようなものがあるのか、そのことを取り上げている。

3.「政治の脳科学」
思想や哲学は時として「政治」の観点から取り上げられることも少なくない。その少なくない中で政治的思考を決める要因として脳における「モラル」があるのだという。そのモラルの起源とは何かについて考察を行っている。

4.「信頼と共感の脳科学」
人の信頼や共感を得るためにはどうしたら良いか、脳科学の観点でホルモンの活動から取り上げている。

5.「評判を気にする脳」
人を気にすることはよくあることである。以前にもそういったことを自分でも明らかにしたことがあるという。そういった人を気にする人はというと他人から受ける「評判」はどうなのかをついつい気にしてしまう。その気にしてしまう要因と対策を列挙している。

6.「幸福の脳科学」
人が幸せだと思うことはいったい何なのか、それは人の考えの中にある。冒頭にも書いたのだがその「考え」の根源は「脳」にある。その脳はどのように作用し「幸福」をもたらすのかを分析している。

本書を読んでみると「脳科学」という学問は多種多様である。ビジネス的な観点からの改善もあれば、本書のように「善悪」の分別まで色々な面で脳科学を使うことができる。脳科学の可能性の広がりを知ることができたのが本書とも言える。