未来食堂ができるまで

東京都千代田区一ツ橋と呼ばれる都心中の都心に「未来食堂」と呼ばれる小さな食堂がある。その食堂はごく普通の食堂のよう見えて、「ちょっと融通がきくお店」として有名であるという。しかも決められたメニューの他にも様々な気分によってメニューを用意してくれるのだから面白い。しかしなぜ「未来食堂」なのか、そして融通のきく食堂を作ろうと思ったのか、未来食堂ができるまでのプロセスを綴っている。

第1章「食堂をやろうと決心」
元々著者は東京工業大学卒でバリバリの理系であり、IBM・クックパッドでエンジニアを長らく勤めたことからエンジニア一筋かと思われた。しかし理系の道を進み始める以前は「店を持つ」という夢を持っていた。その夢を実現するために様々な店を回ったり、実験と称して人を受け入れる場所をつくったりしながらトライアンドエラーを繰り返した。その後エンジニアになったのだが、食堂をやろうと思った最大のきっかけはクックパッドの時代、それもなんてことのない昼食のひと時に思い付き、結審したことにあった。

第2章「未来食堂 始動!」
クックパッドを退職し、一念発起で起業というわけではなく、飲食店でのアルバイト、もとい修業を繰り返すこととなった。修行を繰り返す中で様々な料理方法を学び、飲食店としてのノウハウなどを学んでいった。修行というと「料理の技術」だけのイメージはあるのだが、飲食店ならではの考え方、人材育成、回転数など経営に関するノウハウも併せて身につけることができるようになったという。そうしていくうちに「未来食堂」の骨子が築くようになり、なおかつ事業計画を築く大きな材料にもなった。

第3章「開店、それから」
事業計画書を書き上げ、支援金などの融資をもらい、様々な試行錯誤を経てついに開店にこぎつけた。開店したのは2015年9月12日のことである。開店当初から話題となり、メディアにも取り上げられるようになった。その中で未来食堂はどのような成長を遂げていくのか、開店して1年以上たった今ではどのような姿になっているのか、それは未来食堂に行かないとわからない。

当初私は「未来食堂」という店はメディアで名前しか知らなかった。もっとも東京の都心で外食をすることはほとんどないからである。しかし都心のサラリーマンたちの憩いの場、あるいは食の場の範疇を超えて新たな可能性を見出す食堂であることを、本書を通して理解できたといえる。

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