キッチン戦争

レストランなどの飲食業界には必ずと言ってもいいほど「厨房」が存在する。その厨房は「キッチン」と呼ぶことがあり、時としてそこが「戦場」になることさえある。その戦場はどのような場所になるのか、本書はフィクションではあるものの描かれている。

本書の舞台は「隠れ家」と呼ばれる小さなレストランであるのだが、そのレストランのオーナーにスカウトされた女性シェフは世界的な料理コンクールで戦うことになる。厨房の中の「戦争」と言うよりも、コンクールという場での「戦争」を表している。しかしちゅうぼうとは違い、国内外のシェフたちが集結し、難問などを向き合いながら自分自身の料理を追求していき、そして成長する。青春小説の類に見えるのだが、料理にまつわるドラマであるので、美味しさもあれば、感動もあり、なおかつ文字から浮かび上がる「闘い」の姿も浮かぶ。

シンプルなタイトルであるのだが、料理やコンクールを題材にしているため、胸が熱くなるものもあり、なおかつ自分自身がもっと前向きになれるような小説であった。