イギリス解体、EU崩落、ロシア台頭

昨年の6月23日にEUをはじめとした世界的な出来事が起こった。その出来事と言うとイギリスにて国民投票が行われ、EU離脱を決定したというニュースである。そのことによってEUの社会的な立場、さらには離脱したイギリス、さらにはその周辺国にも大きな変化をもたらした。その離脱劇とEU崩壊、さらにはイギリス内部でどのようなことが起こっているのか、そのことについて取り上げている。

第1章「打算と誤解の離脱劇」
離脱を行う3年前の総選挙、当時の首相だったデーヴィッド・キャメロンはイギリスのEU離脱を公約に掲げていた。元々は残留を求めていたのだが、国内世論が「離脱」への機運が高まった。さらに離脱の引き金となったのが1~2年前からの「移民の急増」にあった。そのことから国民投票が行われる前には残留が優勢の様相を見せていたのだが、いざ蓋を開けてみると「離脱」に傾いていた。

第2章「EU崩壊の危機」
元々EUは前身としてEC(欧州諸共同体)・ECC(欧州経済共同体)としてあった。それらが成立した時代はまだ東西冷戦の最中であり、なおかつ欧州諸国でも様々な出来事や反乱・対立などが起こっていた。ようやくEUの骨組みができたのは冷戦が終わってからであり、そこからEUが出来上がっていったのだが、それでもなお火種はくすぶっていた。」

第3章「連合王国解体の可能性」
イギリスの正式名所は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であるのだが「連合」と記載されていることもあり、スコットランドやイングランド、さらには北部アイルランドと組み合わさったものである。そのことから地方の対立も浮き彫りとなり、ウェールズ・スコットランド・北アイルランドとそれぞれの主張が対立し、さらには昨年の6月のEU離脱でも残留を求める地方もあった。それがきっかけとなり「連合王国解体」の可能性も出てきたと本章にて指摘している。

第4章「再び英露の「グレートゲーム」が始まる」
EUが分裂、さらにはイギリス解体の兆候も相まってロシアも黙ってはいなかった。もっとも好機と判断することもあり得る。それによりイギリス・ロシアとの「グレートゲーム」と呼ばれる政治・文化・経済などありとあらゆる角度から競争が始まっている。その結末はどのようになるのか、そのことを予測している。

ヨーロッパ各国は今混迷を極めていると言っても過言ではない。それはEU全体の話のみならず日本・アメリカを含めた世界に飛び火している状況にある。EUはこれからどのような未来を迎え、変化をしていくのか本書はあくまで予測に過ぎないのだが、シミュレーションを行う材料としても参考となる一冊である。