認知症になった私が伝えたいこと

今となって認知症は治る病気になりつつあるのだが、核心的な治療法は未だに見つかっていない現状とある。もっとも多くの認知症は一生付き合うような病気であり、なおかつ周囲もそれに対する理解が求められるようになる。本書は元々システムエンジニアとして働いていたのだが、老境に差し掛かった時に認知症となり、そこから治療を続けながら全国で講演を行っている。その著者自身が認知症になって思うことを綴っている。

第一章「歩んできた日々」
元々認知症となったきっかけはシステムエンジニア時代に過労がたたり、アルツハイマー型認知症に患ったことにある。もっともそれがきっかけとなり、システム会社を退職し、新たな生きる道を求めるようになった。

第二章「自分でつくる自分の生活」
認知症を患ったことをきっかけに暮らしや考え方、生活そのものに至るまで変わっていった。その中で「変わる」ことに対して、どのように「つくる」のか、そのことについて取り上げている。

第三章「当事者の声を届ける」
当事者は何を思って認知症と付き合っているのか、そのことを取り上げているのだが、様々な認知症の方々との対話を行いながら、ワーキンググループや団体などの設立に参画することもあったという。

第四章「認知症と生きる私からのメッセージ」
認知症を抱えながら生きていくことを心に決めた著者が、家族、医師、周囲の人々、そして自分自身にあてたメッセージを送っている。

認知症にかかった当事者が自ら綴った本は今まで読んだことがなかった。もっとも認知症については医師や家族といった本をよく読むのだが、それは結局のところ「第三者」や「客観」としかわからない。しかし「主観」や「当事者」の立場から「認知症」を語ることによって認知症のあり方をよく知ることができる一冊が本書と言える。

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