噓と人形

一言で言えば「変な小説」である。私小説というわけではなく、著者の名前、さらには自信がレギュラーコメンテーターを務めている番組なども紹介し、その傍らで架空のミステリーを展開するというものである。

もちろん著者自身を冒頭からくどいように出てくるのだが、その著者自身がある意味裁判にかけられているようなタッチで、なおかつ猟奇事件に仕立て上げている。。

もちろんフィクションなのだが、著者が自分自身で十字架に架けられている、あるいはある種の自作自演で裁判や断罪をするというようになっており、フィクションではあるように見えて現実も触れており、倒錯している面も出てきて他の小説にはない「面白味」がある。そう言う意味で「変」と表現したのだが、その「変」が岩井志麻子らしさや世界観を存分に生み出し、小説をよく読む方々にとっても新たな刺激となり得る。