仁者無敵 甫庵伝

中国大陸の思想の中ではビジネスにしても人生にしても大きな教えとなるような古典がある。その古典の中には孟子といったものがある。「性善説」の象徴の一つであり、なおかつ「仁」の教えを重んじる学問の一つである。

その学問は歴史的な人物にも伝えられ、忠臣らにも浸透していった。その浸透していった人物には織田信長や豊臣秀吉の評伝を残した人物にも伝わり、孟子の教えこそが評伝を残そうとしたきっかけであるという。

もちろん小説なので「創作」ではあるのだが、信長と秀吉の評伝を残し、なおかつ今日まで歴史的人物として名を残すことに貢献した人物がなぜ表現を残そうとしたのか、史実もあれば作家の思いもあるのだが、それがうまくマッチしており、なおかつ孟子の思想も絡んでいくところが興味深かった。