日本ミステリー小説史 – 黒岩涙香から松本清張へ

私自身も小説を多々読むのだが、ミステリーの歴史は結構長い。もっともミステリー作品は書店に行くと数多くあるのだが、隆盛の時代と不遇の時代の両方があり、その両方の中で歴史に残る作家も誕生してきた。日本におけるミステリー小説はどのような歴史を辿ってきたのか、そのことを取り上げている。

第一章「ミステリー到来前夜の日本」
元々ミステリー作品自体は江戸時代に存在しなかった。そのミステリーが日本にやってき始めたのが明治15年、日本の時代劇でも「大岡越前」としても有名な「大岡政談」がある。もっとも「大岡越前」にしても「大岡政談」にしても、主人公は大岡忠相(おおおか ただすけ)と呼ばれる幕臣である。もちろん「大岡裁き」と呼ばれる日本で行われる裁判があり、その中で取り上げられるトリックもあるため今にあるミステリー要素がある。

第二章「最初の翻訳ミステリー」
海外のミステリーは日本が誕生する以前からあった。古くはシェイクスピアの時代からである。海外で育まれてきたミステリー作品が日本に輸入されることは今となっては当たり前のようにあったのだが、かつてはなかなか輸入されたミステリー小説はなかったのだが、森鴎外の「雁」は自身で書いた小説であるのだが、途中で海外の作品を翻訳すると言ったこともあった。

第三章「邦人初の創作ミステリー」
第一章・第二章で取り上げてきた作品は前者は実際にいた人物をモチーフにした小説、後者は翻訳も含まれた作品でもあった。しかしながら完全に「創作」であるとは言いがたいのだが、本書は完全に創作を行った人物を取り上げている。その人物こそ「黒岩涙香(くろいわ るいこう)」である。1889年に「無惨」という名で探偵小説として創作されたのが始まりである。本章でもこの本が日本初の創作ミステリー小説と位置づけている。

第四章「ピークを迎えた明治二十六年」
そこから数々のミステリー小説が生まれたのだが、西洋から輸入された者よりもむしろ江戸時代における事件などを題材にした作品も多々あった。
もっとも明治時代は今のマンガを格下のような批判があるように、小説をマンガと同じような扱いをし、それを描く人を「俗悪な仕事」として捉える人も多かったのだという。

第五章「雌伏の四半世紀―ミステリー不遇の時代」
世界的にもミステリーあるいは探偵作品として有名な者としてコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズが挙げられる。実際にシャーロック・ホームズが世に出始めたのは日本における明治~大正時代であり、日本でも翻訳作品として出始めた。その影響を受けた人も少なくなく、「日本のシャーロック・ホームズ」も出てきた。その人物こそ岡本綺堂である。

第六章「捲土重来―盛り返してきたミステリー」
岡本綺堂が出てきて、ミステリーが盛り返したことから、日本のミステリーも盛り返し、名作も数多く生まれた、人物を挙げるためでも谷崎潤一郎や江戸川乱歩といった人物も積極的に作品を発表し、今日に残る名作が数多く生まれた。

第七章「探偵小説から推理小説へ」
やがてミステリーは探偵作品から推理小説へとシフトしていった。日本でも夢野久作や横溝正史といった作家も表舞台に立つようになった。

第八章「現代への潮流」
現在ではミステリー作品は数多くあるのだが、その現代の中で特に有名な人物では松本清張である。松本清張作品は今もなおミステリー作品の名作の中に入っており、なおかつ何度もドラマ化するほどである。

今となってはミステリー作品はごく普通にあり、なおかつそのうちにはドラマ・映画化するなどにまでなった。しかしながらそのミステリーも誕生してから盛衰があったことは忘れてはならない。