川と国土の危機――水害と社会

10月は台風が接近したり、上陸したりとあったのだが、その中でも水害に遭うようなことがあった。台風や豪雨による水害はもはや毎年のようにあるようなものとも言える。豪雨対策として治水と言ったことも挙げられるのだが、その治水の許容範囲を上回るような豪雨や水害があるため、もはやイタチごっことも言えるような事象になっている。水害といかにして付き合うのか、そして水害に対して社会はどのように対応すべきなのか、そのことを取り上げている。

第1章「社会とともに変わる川」
元々川は海や湖などに通じて自然にできたものであるのだが、都市計画といった者ができはじめてからは堤防が開発されるなど人工的に川や堤防が造られるようになった。その創られた「人工的」なものこそ水害の元となっていることを指摘しているのだが、もっとも自然に造られたものもまた水害の元となっているので一概には言えない。

第2章「川にもっと自由を」
堤防が造られるようになったために治水対策を行ったのだが、リスクを減らすどころか、むしろ増やしてしまっていると指摘している。むしろ自由にして良いのではと指摘している。

第3章「流域は一つ―水源地域から海岸まで」
海岸から流域が出てきて、川となっているのだが、本流から支流へと分割され様々な川が誕生しているのだが、流域は一つにすべきだと著者は主張している。

第4章「川と国土の未来」
水害は毎年のように起こる。その水害対策はハードの面からの対策が必要であるのだが、その対策はハードにも限界があり、新たなソフト的な対策があるという。

水害対策はもはや国・地方自治体・個人としても必要なものであるのだが、もっともなぜ水害が起こったのか、それは人災の側面もある。都市開発の面もあれば世界的な人口増と言ったものもあるのだが、様々な要因がある。その中の側面について知ることのできる一冊が本書である。