夜食の文化誌

夜食というと今も昔もあるのだが、もっとも夜食というとどのようなイメージを持たれるのか。その一つとしてラーメンが挙げられるのだが、そのラーメンはなぜ「夜食」の代表格として取り上げられたのか、他にもラーメンが表れる前にはどのような夜食があったのか、さらにラーメンに取って代わった夜食とは何かも併せて取り上げている。

第1章「「夜食」と階層―落語から考える」
江戸時代にも夜食は存在していた。もっとも落語の世界にも夜食の世界がある。その世界の中では蕎麦など様々な料理が出てきたという。

第2章「路地裏の夜食史―1920~30年代における屋台イメージの転換」
路地裏には居酒屋やラーメン屋台と言ったものがあったのだが、これは戦前にも存在した。居酒屋の場合は三代目三遊亭金馬によってつくられた落語にまでなったほどである。

第3章「ラーメン史を「夜」から読む―盛り場・出前・チャルメラと戦前の東京人」
「夜食=ラーメン」というイメージを造ったのはイメージとして大東亜戦争後の要にも見えるのだが、実のところ二十世紀になってからのことである。とどのつまり戦前からもラーメンは「支那そば」として存在しており屋台の代表格として表されるようにもなった。

第4章「若者の夜食はどう変わってきたか」
やがて歴史は進み、コンビニという商業形態ができてからはラーメン屋台も減っていったという。また若者になってくると「夜食」と言うよりも、むしろお菓子などの「間食」を重視することが多くなったという。

第5章「地方からみた「夜食」―都市的まなざしに抗して」
夜食や間食でも都市と地方によって異なる。その異なる中で、独自の夜食を育んできた所・料理もあるという。その料理とはいったい何なのかを論じている。

夜食をひとえに表していもラーメンだけでなく、様々な料理があると共に、どのようにして食されていったのかという歴史がある。今となってはものや店が豊かになり、多様化している。ラーメンのみならず、様々な料理が夜食として扱われることを考えると夜食もまた食の歴史とも言える。