火事場の仕事力

「火事場の馬鹿力」と言う言葉がある。土壇場の所で実力以上の力が出るという意味である。この「土壇場」と呼ばれるような事が人生の中でいくつも出てくる人もいれば、何度も出てくるような人もいるのかもしれない。

本書はよく知られている「キン肉マン」の作者であり、長年漫画界を牽引してきた人物が「火事場」でどのように力を発揮し続けていったのか、その方法を伝授している。

第一章「火事場のアイデア力―30年以上、ボクが仕事を楽しみ続けていられる理由」

マンガを描くとなると、愛だけでなく「アイデア」も必要不可欠である。頭の中で書き留めて、ピンときた瞬間を逃さずに、温めながら大受けするようなネタを練り込み続ける。そこからアイデアは熟成し、企画へと昇華していくのだという。

第二章「火事場の友情パワー―周りの力を信じる事から新たな何かは生まれる」

マンガは一人でつくられると思いがちであるのだが、多くはアシスタントや編集者などの周囲の協力を得なければつくれない人もいる。著者もまたアシスタントがいるのだが、それだけでなく、「キン肉マン」のように名作を生み出している証拠であり、新たなアイデアを生み出すところとして周囲の方々はもちろんのこと、読者の支えがあったからだという。

第三章「火事場の逆境対処術―ピンチの中にこそ、チャンスはゴロゴロ転がっている」

「ピンチはチャンス」と言う言葉がある。もっともである。逆境は大変であるのだが、そもそも「大変」と言う言葉には「大きく変わる」きっかけがあるのだから、ピンチの中には変われる、あるいは新しいものを生み出すための起爆剤にもなる。

第四章「火事場の仕事力―「へのつっぱりはいらんですよ!」の精神で栄光をつかみ取れ」

キン肉マンではよく言われる名台詞である。「へのつっぱり」のような小細工ではなく、一つのことに夢中になり、打ち込むことによって、より良いものが生まれ、なおかつ精神的にも良い方向で居続けられるという。

キン肉マンが今もなお愛されており、なおかつ著者もまた長らく続けられている。その秘訣はもちろんのこと、続けられたことの一端を知ることができた一冊であった。