優しき悪霊 溝猫長屋 祠之怪

「悪霊」と言うと怖い印象がある。もっともドラマ・アニメ・小説などで悪霊というと、人に対して悪さを行ったり、敵になったりすることがあり、必ず害をなす存在としてあげられる。
しかし本書はそれとは異なり、怪談でありながらも霊たちとの関わりがあり、なおかつ江戸時代の人間模様が描かれており、事件が行うなどミステリー要素ありの一冊である。

ミステリーもあるのだが、いわゆるホラーの色が強い。しかし霊が出るなどホラーの要素がありながらも、その霊との関わりは人と人との関わり方とよく似ており、なんとも暖かみのあるタッチで描かれている。

そのためホラーが好きな人にとっても、ホラーに強い抵抗感のある人でもすんなりと読むことができる一冊であり、なおかつホラーに対して嫌悪感を持っている方であれば一度は読んでみた方が良い。考え方が少し変わるようになるためである。