人質の朗読会

「生と死」

この言葉は必ずと言ってもいいほど出てくる。そういったことについて教育の場でも語られたり、議論したりすることがあり、いわゆる「デス・エデュケーション」として扱われることがある。

それはさておき、死と直面する人びとが、日常から隔離された中でどのような本の朗読を耳を澄ませて聴くのか、そのことを描いている。生への祈りや死について見つめている用に思えてならない。

日常から離れて自分自身にとって「生きる」とは何なのか、そして「言葉」とはいったい何なのか、そのことを見事なまでも描かれている。物語でありながらも、自分自身の人生を見直し、なおかつ前へ向くためにどうしたら良いのか考えさせられる大きなきっかけとなる一冊であった。