自閉症のぼくが「ありがとう」を言えるまで

自閉症で悩む人は日本人に限らず、どの国の人にもいる。一時期自閉症が日本でも社会問題として挙げられたのだが、今もなお存在するのだが、対策として心のケアなどがあるという。
本書の著者も幼い頃から重度の自閉症と診断され、さらには知的障害とまで診断されたが、克服し、高校へと道を歩み始めた方の成長を自ら綴っている。

第1章「十二歳 怒りと悲しみ」
十二歳の頃は怒りに満ち満ちた1年であったという。その怒りの矛先は知的障害や重度の自閉症、そしてそれに悩まされている自分、さらにはそれらの病気に対する周囲の認識といったものが挙げられる。

第2章「十三歳 過去と振り切る」
周囲の偏見と向き合いつつ、なおかつ過去の苦しみに振り切りながらありのままの自分と向き合ったことを綴っている。過去はどうあっても事実であり、ねじ曲げるようなことはできないため、変えられるとしたら今と未来である。

第3章「十四歳 自分の人生を生きる」
自閉症、知的障害、そして今の自分を向き合いながらこれからの人生はどう合っていきたいか、そして自閉症に対して、当事者の立場からどう伝えていくかスピーチをする機会を得るようになったという。

第4章「十五歳 高校へ」
高校へ進むようになってから将来の自分と自閉症との向き合いをさらに深く問うようになった。問うようになってからさらに啓蒙活動をするようになったという。

自閉症に悩まされながら、どのように向き合い、そして成長していったのか、その心情と向かった姿がここにある。自閉症に悩まされている方であれば必ずと言ってもいいほど読んだ方が良い一冊である。その理由として自閉症を脱出するのでなく、「向き合う」力とヒントを与えてくれるからである。