なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか

私自身パンは好きでも嫌いでもないのだが、毎日とまでは行かないまでも頻繁に食べることが多い。ではフランスパンはと言うと、よくあるパンよりもさらに頻度は少ないが食べることがある。食べ応えがあり、少し食べただけでも満足してしまう感覚になる。もっともフランスパンは言うまでもなくフランスが本場であるのだが、その本場を抜いて世界一となったのが日本であるという。もっともフランスパンを世界一に昇華させた要因とはいったい何か、そのことを取り上げている。

第一章「日本人はパンが好き?」
文明開化以後から庶民の間でパンを食されるようになった。その時はご飯などが主食となっていたためにそれほど広まりを見せなかったのだが、第二次世界大戦後からは食の欧米化が進み、急速に広がりを見せていった。またその広がりからか一昨年には「パンブーム」が起こっていたという。

第二章「歴史を変えたパン焼き人たち」
日本で生まれたパンもある。その代表格としてあるのが「あんパン」である。キャラクターの中に「アンパンマン」があるように、日本を代表するパンとしてあるのだが、その発祥は1874年木村屋の創業者である木村安兵衛と木村英三郎と言われている。他にもカレーパンやクリームパンなど、スーパーで当たり前に売られている「菓子パン」や「調理パン」の多くは日本にて誕生したものである。

第三章「カレーパンは丼である」
前章にて誕生したうちカレーパンは調理パン、あるいは惣菜パンとして挙げられるのだが、起源は諸説あり、現在もハッキリとしていない。分かっているもので最も古いところでは大正5年、新宿中村屋にてインド独立運動家のラース・ビハーリー・ボース(通称「中村屋のボース」)がインドカリーを伝え、それをヒントに相馬愛蔵がカレーパンを発明したとも言われている。もっともカレーパンの発想の一つに「丼もの」がある。もっとも丼ものもご飯の上におかずをのっけるようなことを着想としてあるのかも知れない。

第四章「西洋のパン食文化」
では本場である西洋ではどのようなパン食文化を広めていったのか、西洋諸国はキリスト教を根源としているために、その宗教上では「聖なる食べ物」として扱われる。また古代~中世にかけのパン、とくに「白パン」と呼ばれるものは高価で贅沢品とも呼ばれていた。

第五章「フランスパン時代の幕開け」
パンはさらなる進化を遂げる。それはフランスパンとて例外ではない。安価なパンもあれば最近では素材や製造にこだわりを行うなど「高級志向」のパンが目立つようになり、そのパンも飛ぶように売れる。もっともフランスのパン屋を再現するような本格的なパンも世に出始めるなどフランスパンの戦国時代が到来したとも言われている。

第六章「ホームメイドのパン」
また自分自身でパンをつくるという風潮も見られるようになった。酵母から小麦など様々な材料を用意し、ホームベーカリーを使ってパンを焼くといったことができるようになったからである。そのことからホームベーカリーを利用してその家だけのパンを作ると言うこともできるようになった。

第七章「私たちの主食文化」
かくいう著者も様々なパンを食してきたという。食してきた中でパンの文化はどのように栄えてきたのか、著者自身の目で分析をしている。

パンはもはや日本人のもう一つの主食としてあげられていると言っても過言ではない。しかもそのパンは種類が豊富にあり、日本発のパンもあることから日本独自の進化を遂げてきたとも言える。その歴史の足跡とここ最近のブームの兆しを垣間見ることのできる一冊である。