これからのナースに実践してほしいこと

著者は昨年7月18日に逝去した。105歳という、大往生だった。
逝去するまで長らく現役医師を貫き、現代医療のあり方の道筋を示した開拓者でもあった。医療の場の中でも著者自身が提示・提案したものが数多くある。逝去してまもなく1年を迎えるのだが、その著者がナースなど医療を行う方々に対してどのようなメッセージを残したのか、著者自身にて綴ったのが本書である。

1章「ナースがプライマリ・ケアを担う時代がやってくる」
ケアを行うことは医師の仕事かと思ったのだが、著者はナースもまた患者のケアを行う時代が来ると予見している。そのケアをするにはどのようなことを心がけた方が良いのか、そのことを提示している。

2章「ナースに大切なのは明るさ、そして機転」
医師から見て「ナース」はどのような存在なのか、そしてナースはどうあるべきなのかを提示している。もっともナースの存在によって医師にとっても、患者にとって大きな支えとなる。

3章「看護も変わらないと時代遅れになる」
時代や技術は変化すると共に、看護のあり方も変化する必要がある。もちろん医療の場では様々な「変化」をする事があるのだが、中には変化に対応できず、取り残されてしまうような所もある。その変化はどのようにあるべきか、それを取り上げている。

4章「首から下げている聴診器は使うためにある」
医師のシンボルとしてある聴診器はどのように役立つのか、もちろん内科検診などでつかわれるのだが、その役割も含めて取り上げている。

5章「バイタル・サインは生きてる証拠」
血圧測定や心電図測定など様々な測定項目があるのだが、そもそも測定の中で健康なのか、不健康なのかが異なってくる。健康を維持している「バイタル・サイン」は生きていること、なおかつアクティブな活動ができる証拠となっていると主張する。

6章「看護を支えるための大きな医学をしっかり学ぼう」
看護でもって医師を支える、患者を支えることには看護学が必要であるのだが、他にも「医学」も学ぶ必要がある。それに行き着いたきっかけはどのようなエピソードがあるのか、そこについても綴っている。

106年のうち、著者が医療現場に携わったのは戦前となる1937年なので、ちょうど80年にも及ぶ。80年という長い年月の中で医療の現場は大きな変化を遂げてきた。その変化の中には著者自身が起こした変化もある。その長きにわたる経験の中で伝わるメッセージが秘められており、これは看護師ではなく、医療現場に関わる全ての方々に向けられたメッセージに他ならない。