AIに心は宿るのか

AIの技術は目覚ましく、最近では将棋・囲碁などの世界でも人間を凌駕するようになってきた。そのことによって技術革新が行われている。さらに言うと最近に至っては小説もAIによってつくられ、星新一賞の審査に通過したことが挙げられる。本書はそもそも「AI」の技術はどこまで進化するのか、そしてその技術には「心」が宿るのか、その本質を迫っている。

第1章「“AI作家”は、生まれるのか」
冒頭にも書いたのだが、AIは進化しており、小説まで作ることができるようになった。今のところ世に出たことはないのだが、賞の一次選考を通過するほどにまでなっているため「AIが小説をつくる」ことはあたかも現実のものに近づいているとも言える。

第2章「「知の敗北」が意味すること――棋界に見る、シンギュラリティの縮図――」
ここ最近では電王戦と呼ばれる闘いがあり、将棋は既に人間に勝利するようになり、なおかつ囲碁の世界でも世界ナンバーワンと呼ばれる中国・韓国棋士2人に完全勝利するといったほどにまでになった。本章ではあくまで「将棋」にフォーカスを当てて、今話題となっている羽生善治と藤井聡太の2人を引き合いに出して取り上げている。

第3章「対談 AIは「創造的な一手」を指せるのか」
第2章に派生して、将棋の一手はAIによって独創的に、なおかつ創造的になし得るのか、著者と羽生善治氏と対談をしながら解き明かしている。

第4章「AIに創造は可能か」
AIには新しいものが可能なのかも知れない。それは今から5年前にあった第2期電王戦の第5戦目のGPS将棋対三浦弘行との一戦にて圧倒的にGPS将棋が勝利した時に、時の竜王で会った渡辺明がブログにて「新手誕生」と指摘したことがある。膨大にあるデータをもとにして新手をつくる事ができるという。そのことに派生して、様々なものを創造する可能性を示している。

第5章「「ポスト・ヒューマン」への、四つの提言」
AI技術の進化により「ポスト・ヒューマン」となるためには、何が必要なのか、著者は4つの提言にしてまとめている。

技術は進化する。それはAIもまた同じ事である。しかしそのAIの技術について人間にとって有益なものとなるのか定かではないが、その可能性を知ることができる一冊である。