ハオスフラウ

アメリカとスイス、そしてドイツの3国が入り交じっているような気がしてならなかった。本書の舞台はスイスのとある街にあるドイツ語教室。その教室には様々な人がいるのだが、一人にとあるアメリカ人がいた。

ドイツ語というよく分からない言語を習得する傍ら、その習得する中で様々な人との代わりを持つこととなった。時には「情事」と呼ばれるようなことにあったとしても。

しかしその関わり合いには「嘘」がつきまとう。もちろん主人公も「嘘」で塗り固められ、他人との関わり合いが強くなればなるほど、秘密と言う名の心的な負担が強くなり、そのことにより憂鬱に苛まれてしまう。その憂鬱さを事細かに映し出されており、嘘の美しさと重さが独特な表現で表れた一冊であった。