時をあやつる遺伝子

2017年にノーベル生理学・医学賞を受賞した人物にジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイク・ヤングの3博士がいる。その博士たちは何を成したのかというと「体内時計を制御する分子メカニズムの発見」と言うものであり、本書の主題になる遺伝子レベルでの体内時計が発見されたと言うものである。

もっとも体内時計自体は人体の神秘である一方で謎が多かったのだがようやく解明の日が来るようになったとも言える。では体内時計のメカニズムとは何か、現在進められている途中経過ではあるものの、判明していることを取り上げている。

第1章「時を刻む遺伝子の発見」
元々体内時計にまつわる研究は1971年に発表された時からスタートとなっている。24時間周期でどのようにしてリズムがつくり出されているのか、そのことを解明しているのだが、そこには「遺伝子」が存在しているというのである。1970年代において画期的な研究であった一方で、解明するにも「技術的限界」があり、頭打ちとなってしまった。

第2章「最初に謎を解く者」
体内時計の遺伝子はある程度判明はしたものの、体内時計として信号を送るのか、そこにはあるタンパク質が伝令役として関わりを持っていることが判明した。1985年の話である。

第3章「体内時計のパーツを探せ」
さらに体内時計を作るだけではなく、制御する、あるいは脳に伝えることも必要になってくる。それらは細胞によって行われているのだが、どの細胞なのか、さらにはその細胞の中にある「細胞質」にあり、さらにはそこにある要素が体内時計に関わってくるのかを明かしている。

第4章「ゲノム解読の余波」
遺伝子、いわゆる「ゲノム」にまつわる解読は今もなお行われているのだが、体内時計に関する遺伝子的な解読は進まずにいたのだが、先立ってショウジョウバエの解読が行われゲノム配列が完了したことから本章が始まる。その中で体内時計における遺伝子研究はどのようにして進んでいったのか、その過程を取り上げている。

第5章「ループを織りなす時間」
時間にもそれを伝える・つくるなどのループが存在する。そのループによって体内時計が成り立つのだが、そのループを解明するために、どのような解析をしたのか、その実験を明かしている。

第6章「時計遺伝子の第2の謎」
体内時計の遺伝子が解明されていくのだが、その中でも新たな謎が出てくる。その謎とはいったい何か、そこには「脳内時計」と言うものであった。その脳内時計と体内時計の違いとは何か、こちらも遺伝子レベルでの観点で解明している。

第7章「みんな知りたい、いま何時?」
本当のところ体内時計はどのようにして成り立っているのか、そのまとめにあたる所である。まだ解明できていない部分があるとは言え、細胞・遺伝子のネットワークで構成されているところであるのだが、具体的にはどのようなネットワークを構築しているのか、現時点で分かっているところを明かしている。

本書、もとい「岩波科学ライブラリー」は科学的なものをわかりやすく取り上げることが主体となっているのだが、本書は最近判明した研究でもあり、まだ未解明の部分があることも起因しているのかも知れないのだが、遺伝子や細胞に関しての専門用語がライブラリーの中でも特に多く見受けられた。そのため遺伝子学や細胞学について分からない方だと本書を読んでもついて行けない部分が多い。とはいえ本書の随所に用語が解説されているコラムがあるため、繰り返し読んでいくことによって体内時計の遺伝子とは何かが分かってくる、そんな一冊であると言える。

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