日米同盟のリアリズム

1960年にワシントンで「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」が結ばれ、俗に言う「日米同盟」が誕生した。それから58年の歳月が流れたのだが、強固なものになったり、崩れかかったりすることが、アメリカ大統領、あるいは日本首相の関係によって変わってきた。もちろん同盟の中には安全保障にまつわることがあり、日本に米軍基地があることも起因している。その日米同盟について好意的な意見もあれば、否定的な意見を主張する識者もいる。本書はあくまで肯定的でありつつ、日米同盟がなぜ強いのか、そして北朝鮮や中国に対してのシミュレーションも行っている。

第Ⅰ部「世界最強の日米同盟」
日本は日本国憲法によって今でこそ自衛隊はあるのだが、専守防衛が是となっているため、攻撃ができるわけではない。もちろん自衛隊の軍事力も他国に劣らぬ強さはあるが、それでも隣国の脅威から守るためにはアメリカが必要であり、アメリカにとっても「世界の警察」としての役割を持つにあたり、日本はなくてはならない存在であるという。

第Ⅱ部「北朝鮮Vs.日米同盟」
では北朝鮮が日米と戦った場合はどうなるのか、今でこそ米朝首脳会談が行われ、本章のような戦いになる確率は少ないのかも知れないのだが、あくまで「シミュレーション」である。北朝鮮の軍事力と日米同盟の軍事力がどうなのか、そして戦ったらどうなるのかも含めて取り上げている。

第Ⅲ部「中国Vs.日米同盟」
現時点で中国は急速な軍事拡大を進めており、日本のみならず周辺国にも「脅威」として存在するとも言える。もっとも米中関係はどうなのか、さらには日米同盟と中国の関係はどのような変遷があったのか、そのことを取り上げている。

本書の後半はあくまでシミュレーションであるのだが、日米同盟は日本にとっても、アメリカにとっても手放せないものであることが示されているという。今後の世界情勢は全くといってもいいほど予測できない。もっともアメリカもトランプ政権が何をしでかすかもわからない。そのことも踏まえて日米同盟とは何か、それを考える参考資料となる一冊となる。