軍人が政治家になってはいけない本当の理由

今となっては文民統制になって久しいが、かつては軍人も政治に参加していたことがある。もちろん現在も元軍人が政治家として活躍している人もいる。しかし、本書の著者は軍人が、政治家になってはいけないと主張している。それは一体なぜなのか。本書ではその理由を取り上げている。

第1章「自衛隊の東日本大震災対処への賛辞の裏側で起きていた事実」
2011年3月11日東北地方を中心に甚大な被害を受けた。その災害から復興として様々な方面からの支援を受けることとなったのだが、その中でも自衛隊の復旧・復興活動は目覚ましくあった。しかしながら当時は民主党政権下にあり、菅直人政権の中にあった。自衛隊に対して否定的な考えを持つ人もいたために、復興するための貢献ができないようなこともあったほどであったという。

第2章「日本の政軍関係の現状を考える」
日本における政治と自衛隊の関係を本書では「政軍関係」と定義づけているのだが、その政治と自衛隊の関係はどのような変化をもたらしたのか、本章では「55年体制」からスーダンPKOに至るまでの経緯を取り上げている。

第3章「政軍関係の経験則を求めて太平洋を渡る」
政軍関係の礎となったのはアメリカであった。アメリカでは大統領府と議会、さらにはアメリカ軍との関係が、そのままとまでは言えないのだが、それに近い形で日本に渡ることとなった。もっともアメリカにおける「政軍関係」とはどのようなものが挙げられるのか、そのことについて考察を行っている。

第4章「米国が経験した政軍関係の象徴的な事例」
第3章の続きと言えるような章であるのだが、本章では政軍関係がどうであったのかを象徴づける事例があったという。本章ではその事例を取り上げているのだが、その事例の中で最たる人物を単元としている。もちろん日本にも縁が深い人物もいる。

第5章「さらに、政軍関係の経験則を求めて大西洋を渡る」
アメリカの政軍関係を伝来したのは日本に限った話ではない。イギリスでもアメリカの政軍関係が扱われていったのだという。そのあらましが取り上げられているのが本章である。

第6章「民主主義国家日本が取り組むべき政軍関係の課題」
民主主義国家でありつつ、軍や自衛隊などの武力を持っているからでこそ「政軍関係」が大切になってくるのだが、その関係はどのようにして構築されていくのか、これまでとこれからを主張している。

政治にしても、軍にしても、憲法にしても海外の事例を参考にすることがある。政軍関係もまた然りである。日本における政軍関係はアメリカから渡ったものであることは有名とまでは言わないまでも合点はいくのだが、本書のタイトルの証明となったのかというと首を傾げてしまう。